矯正治療中・治療後の注意点

治療中に装置のトラブルが起こった場合

長期間にわたる矯正治療において、治療中に何らかのトラブルが発生することはある程度起こり得ます。ワイヤーが折れたり、それが口腔外に出てきたりした場合には、せっかく動いた歯の位置が戻ってしまうことを防ぐ意味でも、次回の予約を待たずにお電話の上早いタイミングでご来院いただき、応急処置を行っています。治療の段階やトラブルの内容によってなるべく早く来院して対処した方が良い場合と次回来院時までそのままでよい場合がありますので、一度ご連絡ください。ワイヤーが折れて口から出てくるような状態では痛みを感じてすぐに来院される方が多いですが、ブラケットが外れた時にはご本人は気づかないケースもあります。適切な対処を行うためにも、定期的な診察には必ずおいでいただけるようにお願いします。

ブラケットを外した後の保定期間

ブラケットによる治療を行って歯並びと咬み合わせを整えた後も、歯の周囲の骨や歯肉などの組織は歯を堅固に取り巻いておらず、不安定な状態です。口腔内の環境が安定するまでは元に戻ろうとする力が残るため、保定用の装置を利用して安定を保つ保定期間が設けられています。当院では矯正治療を開始する時に「ブラケットをつけて歯を動かす期間と同じように、歯の位置が安定するまでの間も治療の上で大切な期間である」ということを詳しくお伝えしており、全体の治療期間の長さや保定期間の重要性を皆さんにご理解いただいた上で治療に入っています。

保定期間の定期検診

保定期間に入ってからは2年から2年半ほど定期検診で経過を見させていただいています。後戻りがないか、保定装置が問題なく使えているかをチェックして、歯のクリーニングやブラッシング指導などを行います。その期間を過ぎてもご希望される方にはそのまでの3か月に1回から半年に1回に間隔をあけて、患者さまご自身がもう必要がないと判断されるまで定期的に様子を確認しています。歯の後戻りが多くなるのは主にブラケットを外して半年から1年の間です。それ以降に歯が動いて歯並びが悪くなる場合は新たな不正だという考え方もあり、保定を短期間で終了されることを希望される患者さまには、「整った歯の位置がこの先一生維持できるわけでなく、老化現象などによって変化する」という話をしています。ご自身で夜寝る時だけでも保定装置を長く使い続けていただくと、歯並びの変化を多少は遅くすることが可能になります。