#249
大阪国際会議場で開催された、
第66回 日本矯正歯科学会大会 『美育 口と顔の科学』に参加して

スタッフ一同

平成19年9月19日・20日・21日の3日間、大阪国際会議場で行われた、第66回 日本矯正歯科学会大会 に20日と21日の2日間、参加してきました。今回は「美育 口と顔の科学」をテーマに開催されました。


スタッフ&ドクターセミナー
『化粧による美しさへのアプローチ "顔だち・口もとの調整と演出の理論"』

資生堂ビューティーソリューション開発センター メイクアップグループ研究員
高野 ルリ子さん

 

化粧がもたらすものとは美しく演出するものだけではなく、心身を健やかに整える役割をもち、人それぞれ年それぞれの固有の美しさを表現し人生を輝かせるもの。そして、自己表現の一つと言えるメイクは、その質や演出方法により、他者の評価や行動にも影響を与えるということでした。

美しさは外見だけでない
美しさのもたらす力
美しさのチャート
化粧の機能による分類
体表のメンテナンス 美の演出
体表の汚れを落とし 彩色、香りなどにより
状態を維持ー整えること 美しく演出すること

☆メーキャップの表現
 彩色による変化
・一次作用 … 着色の直接効果(自然な色彩表現の延長)

  1. 顔の要素に対する色彩補強(口紅など)
  2. 色彩のイメージ効果(やわらかい色や落ち着いた色など)
・二次作用 … 着色による形態変化(印象の演出にもつながる)   
  1. 形態そのものを変える(眉や口紅などの描き方)
  2. 形態の見え方を変える(アイシャドウなど)
 優しい、クールといった印象表現においては顔の形態的特徴の操作が基底となるが、その形態的特徴は、顔の類似性を判断するための要素と表情を認識する要素と対応します。つまり、メーキャップは個の顔の特徴と表情の延長にあるといえます。

☆美しさへのアプローチ 〜口もとゴールデンバランス〜

口もと形態の変化
<20年前>
  • 唇はすっきり直線的な傾向
  • 顔下半分が長め
  • あごが鋭く、ラインがシャープ
<現代>
  • 唇はふっくら厚みがある
  • 顔下半分が短め
  • あごが短く、ラインが弱め
調整
矢印
演出
・形を整える ・個性を演出する
・配置(の見え方)を整える ・望む印象を演出する
・バランスを整える

*口もとゴールデンバランス
  1. 上唇の山…鼻孔の中心を下ろしたところ
  2. 上唇の谷…山の角度 10〜15度(谷の位置は山より2mm程度下)
  3. 下唇の底辺…あご先の形とほぼ同じ。上唇の山間よりやや幅広
  4. 下唇の形…あごラインとほぼ平行。スペースバランスが整っている
  5. 口角…口角ラインが引き締まっている(横から見たときに上下の口角が合っている)
  6. 唇の上下比率の領域…1:1.3〜1.5の範囲
  7. 何もついていないリップブラシでラインを内側にぼかす
  8. 口紅、リップグロス等でラインのやや内側を塗る

標準バランス+その人の持つ要素を基準とした調整

メーキャップとコミュニケーション  化粧は表情の延長線上にある
 化粧の有無による他者の行動への影響…化粧(整容)は他者に影響を与える

メーキャップの表現とその操作
チャート チャート


臨床セミナー 「矯正歯科医療と法務」
『矯正歯科医療における法的紛争の予防について』

辰野・尾崎・藤井法律事務所
辰野 久夫先生

 医療行為に過失があったのではないかという疑問・誤解を払拭できないまま、患者が医師を訴えるというケースが増加傾向にあります。矯正治療においては、綺麗な歯並びと正しいかみ合わせとともに、「美」を追求することになる関係で、顔あるいは口元の美しさに関して医療従事者と患者との間で認識の違いや誤解が生じ、紛争に発展していく可能性があります。

矯正歯科医療における法的紛争
  1. 治療行為そのものに関するトラブル
  2. 治療の方法・結果に対する説明不足
  3. 治療の結果に対する歯科医師と患者との間の認識の相違
    歯並びの美しさ 口もとの美しさ 表情の美しさ 「美」に関する認識の違い
  4. 再治療
  5. 損害賠償請求
  6. 業務上過失傷害罪(刑事告訴)
背景事情
  1. 専門家責任に対する意識の向上
  2. コミュニケーション能力の低下
  3. これまでの伝統やしきたりの崩壊
  4. 法曹人口とくに弁護士の急増(司法改革)
  5. 裁判員裁判による法的意識の変化(司法改革 2009年5月までに導入予定)
医療訴訟における「カルテ」「レントゲンフィルム」「検査記録」などの証拠の重要性
  1. カルテ等の記載内容が勝敗を決する
  2. リスク管理と考えて、カルテ等の記載は的確に
  3. 電子カルテの問題
 裁判官に対し、争点に関する医学的知見をどのようにして正確に伝えるか
 訴訟代理人である弁護士との共同作業

矯正歯科医療における法的紛争の予防

(1) 患者の理解力・判断力・決定力に応じた的確な説明(治療前)
〜報提供と患者の自己決定権〜
  1. どのような治療を行い、どのような成果が期待できるか
  2. 治療にどのような痛みと日常生活上の支障が予想されるか
  3. 治療に伴うリスクの説明
  4. 治療に要する予想期間
  5. 治療結果と「美」との関係
(2)トラブルが発生した後の対応(治療着手後)
  1. 感情的にならず、冷静に事実を確認・分析することが最も重要!医療紛争に限らず、「Facts Finding」 がトラブル解決の第一歩
  2. 患者側に対し、誠実に説明し、対応することで多くの場合は解決に繋がる
  3. 正確性を欠く発言、患者のプライドを傷つける発言などは禁物
  4. 医療過誤か否かグレーゾーンの場合は、信頼できる矯正歯科医師と弁護士に意見を求める
  5. 訴訟、証拠保全に備えた準備
法的紛争の解決
  1. 交渉による解決(当事者自治)・・・当事者同士による交渉、代理人を通じての交渉
  2. 訴訟・調停等による解決
  3. ADRの活用



『最近の医事紛争の傾向』

兵庫県歯科医師会委員 シーサイド溝井歯科
溝井 康雄先生

 近年、医事紛争は全国的に増加の傾向をたどっていて、歯科に関する医療関係訴訟は約7%をしめている。紛争内容は、委員会設立当初は、切傷・誤飲・誤嚥・誤診断・誤治療などの医療過誤や自費治療(インプラント)に関わる料金問題が中心だった。最近の傾向としては、術後麻痺・術後感染・インプラント治療後のトラブル・治療後の顎関節症といった専門知識の必要な事例やインフォームドコンセント不足からの不満・不信が苦情になって現れた事例、舌痛症・下顎骨骨髄炎など因果関係が明らかにするのが困難な事例、医学的根拠が明白でない事例など多種多様化し複雑化してきた。

矯正の医事紛争の原因
・治療後の不調 ・誤抜歯
・治療への不信 ・後医による指摘
・歯牙の変色、歯牙の喪失 ・インフォームドコンセント不足
・後戻り ・期間費用への不満

 現代社会において矯正治療は、歯科医療分野で審美歯科やインプラントと同様に国民のニーズは大きくなっています。同時に矯正の医事紛争は確実に増加傾向をたどっています。医事紛争を起こさないために、患者との人間関係の構築を図ることが重要になります。

矯正歯科医師への要望

 1. 矯正治療の診断、治療方針に必要な資料の採得・保存
 2. 診療録の明確な記載と予診表、治療承諾書。依頼診の保存
 3. 研鑽義務
 4. 説明義務
  (1) 承諾のための説明、方法に対する説明・・・治療について・治療費用・治療期間
  (2) 納得のための説明、転医勧告の説明・・・・不慮の事故の発生


オーラルケアセミナー
『TBI』

 ワンタフトブラシを勧めるポイント
  1. 患者さんにリスク部位を知ってもらう
  2. 脇役から主役に
  3. 道具選びの価値を解りやすく伝える(「例えば」を使う)
  4. 「楽」を楽しむ
  5. リンキングメゾット

リンキングメゾット・・・新しい清掃用具の習慣化に!
通常のブラッシングの前にリスク部位を新しく指導するブラシを使って、先に清掃してもらう方法

キシリトールを積極的に活用し、菌を弱らせる
  • 唾液の分泌を促進
  • 再石灰化を助ける
  • エネルギー源をして使えない
  • 酸を作れない
  • グルカンを作れない
フッ化第一スズでミュータンス菌を抑制
  • 細菌を殺菌する
  • 歯周病菌の発育を抑える

リスクとなっている原因を解りやすく伝える
 ・口腔内のリスク  ・食生活でのリスク  ・ライフスタイルでのリスク
発想を変えてみる
どうしてできないのだろう→どうしたらできるようになるのだろう


集合写真 スタッフ&ドクターセミナーの講演では、自己表現のひとつといえる化粧が、その質や演出法によって他者の評価や行動にも影響を与えるとのことでした。修飾は新鮮な美しさを生むものですが、過度な場合は違和感を与え、表情を誤認させることもあります。眉毛の書き方ひとつで相手が受ける印象が変わるので、場に応じた化粧をする必要があると思いました。

メイクの仕方が年齢によって変わっていくとともに笑顔の魅力も変化していきます。与える印象も違うと思いますし、場面で感じ方も違うと思います。どんなにメイクを綺麗に見せていても笑顔でなかったらきっと相手に良い印象を与えられないと思います。美しく笑顔を作るには綺麗な歯並びも重要な要素であります。親しみ、魅力、気品など与えたいことによってメイクと笑顔を変える……難しいことかもしれませんが考える必要はあると思います。化粧は社会に向けてのたしなみだそうです。あまりきつい印象にならないように、優しく親しみの持てるスタイルが見つけられたら良いなと思いました。

臨床セミナーの講演では、医療行為に過失があったのではないかという疑問・誤解を払拭できないまま患者さんが医師を訴えるというケースが増加傾向にあるとのことでした。医療従事者と患者さんとの間での認識の違いや誤解、説明不足が原因で訴えられてしまうこともあるので、これからも今まで以上に注意をして患者さんと接していきたいと思いました。法的紛争に勝つことが目的ではなく、そうならないような誠実な対応をして、患者さんとの信頼関係を良いものにしていくことが何よりも大事なのだとセミナーを聞いていて思いました。
2日間の学会に参加して学んだことを今後に生かしていきたいと思います。