#222
中日本矯正歯科医会 第118回例会

2006年10月18日に愛知県名古屋市中区栄のマナハウスで開催された中日本矯正歯科医会 第118回例会に参加し、症例展示発表を行ってきました



2006年10月18日に愛知県名古屋市中区栄のマナハウスで開催された中日本矯正歯科医会 第118回例会に参加し、症例展示発表を行ってきました。
当日のプログラムは理事会報告の後、下記のように会員発表が名古屋市で開業の田中耕平先生が行い、その後、症例展示発表が4題行われました。

[会員発表]
スクリュータイプインプラントの植立一システム 田中 耕平 会員

[症例展示]
Angle分類classIII,強い叢生を伴う骨格性下顎前突 青木 淳 会員
マイクロインプラントアンカレッジ(MIA)を用いて治療を行った
Angle's Class II 開咬の非抜歯治療症例
菅沼 與明 会員
叢生を伴う上顎前突症例・上顎中切歯の抜歯 金井 鐘秀 会員
アンカースクリューを用いた成人上顎前突症例 大森 一幸 会員

最近のトピックスでもあるインプラントアンカレッジのに関する発表が私も含めて3題発表されました。徐々に治験例がこのような場で発表され蓄積されていくことで、矯正歯科専門開業医に普及して、患者さんの利益になるのだと思います。
もちろん個人情報には十分注意しながら発表をしていますので、菅沼矯正歯科の患者さんにも医学、矯正歯科学の進歩のためにご協力下さいますようお願い申し上げます。

今回、発表をしてマイクロインプラントアンカレッジの応用方法を改めて検証する良いきっかけになりました。また、中日本矯正歯科医会の諸先生方は、非常に熱心で示唆に富んだご質問をして頂けます。私も大変勉強になりました。

http://www.ortho.gr.jp/member/extract/index.html

で、各抄録などもっと詳しく見ることが出来ます。
また、下記が私の発表の抄録です。

「マイクロインプラントアンカレッジ(MIA)を用いて治療を行ったAngle's Class II 開咬の非抜歯治療症例」

菅沼與明


【目的】
叢生を伴うAngle's Class II開咬の成人の患者にマイクロインプラントアンカレッジ(MIA)を用いて上下顎第3大臼歯の抜歯のみで、小臼歯は非抜歯で矯正治療を行い比較的良好 な結果が得られたので報告する。

【診断・治療方針】
初診時年齢21歳11ヶ月の女性で、前歯部の叢生を主訴に来院した。顔貌所見は、側貌はコンベックスタイプで、正貌ではややオトガイ が左方に偏位して非対称傾向が認められた。口唇閉鎖不全と、口唇閉鎖時にオトガイ筋の緊張が求められた。口腔内所見は、大臼歯関係はAngle's Class IIで、上下顎前歯部に叢生が認められ、著しい開咬を呈していた。また、顎関節所見としては、右側顎関節で過去に開口時にクリックの発現があり、クリック発現時にはわずかに疼痛を感じたこともあると、顎関節症の既往がある模様であったが、初診時には明確な症状は認められなかった。また、舌癖と低位舌が 認められた。

 検査分析の結果、骨格的には垂直的には著しい長顔型で、前後的には下顎が後退したAngle's Class II症例で、叢生および著しい開咬を伴う骨格性の上顎前突症例である。上下前歯には著しい唇側傾斜が認められた。また、顎関節症の既往があったが、顎関 節パノラマレントゲン撮影像では特に異常は認められなかった。患者は聖隷クリストファー大学看護科の4年生で母親は看護師であった。初診時と、資料採取 時に外科的治療や小臼歯抜歯に難色を示していたので、その点を苦慮しながら治療計画を検討した。

 治療方針としては、Plan1として上下両則第3大臼歯と第1小臼歯を抜歯してハイプルヘッドギアとパラタルバーを併用し上顎大臼歯をマキシマムアンカ レッジで治療する方法、Plan2として上下両則第3大臼歯と第1小臼歯を抜歯し上顎のアンカレッジはパラタルバーのみで行い下顎をS.S.R.OによるAdvancementとautorotaitionによる外科的矯正歯科治療を併用して治療する方法、そしてPlan3として、上下顎第3大臼歯を 抜歯し、小臼歯は非抜歯で、アンカレッジには上下顎両則臼歯部にマイクロインプラントアンカレッジ(MIA)を埋入し、前歯部開咬の改善のため上下第一 大臼歯の圧下・アップライト、および、叢生の改善のためのスペース確保のための大臼歯遠心移動を行う非抜歯矯正治療計画を立案し、患者と患者の親に提示 を選択して頂いた。患者並びに患者の親はPlan3を選択した。また、舌癖および口唇閉鎖不全が認められたので、併せてMFTを励行して行くこととした。

【結果・考察】
上顎大臼歯は約4mmの遠心移動は達成できたものの圧下はできなかった。下顎大臼歯は約2mmの遠心移動およびアップライトが達成できたが、 圧下はされなかった。非抜歯にて治療を行ったものの上顎前歯の歯軸は大幅に改善された。また、口唇閉鎖も以前よりスムーズになり、患者の審美面および精神面での満足度も達成された。動的治療期間は30ヶ月であった。現在、保定を開始して間もない状態であるので、今後、注意をしながら保定観察を行っていく予定である。