#195
日本臨床矯正歯科医会平成17年度2月例会に参加して

歯科衛生士一同


2006年2月15日(水)・16日(木)と東京の品川にて日本臨床矯正歯科医会(平成17年度2月例会)が開催されました。私達は、16日に行われた臨床セミナーと、スタッフプログラム、スタッフ交流会に参加してきました。      

臨床セミナー
『PMTCのテクニック』

内山 茂先生(埼玉県・開業 東京医科歯科大学臨床教授)

どんなに一生懸命ブラッシングをしても、歯ブラシでは、落ちない歯垢がある。通常の歯ブラシでは落ちない歯垢を、超音波ブラシを使用し磨いたが、ぬるぬる感が残る。超音波ブラシに歯磨剤を付けて磨いても、染め出すと歯垢が残っている。この歯垢はバイオフィルムであり、PMTCで擦り取る、剥がし取るという操作が必要である。患者さんが頑張ってブラッシングをしても、落ちない歯垢があることを理解し、患者さんと私達が一緒になって、取り組んでいくことが大切である。

〈矯正治療中のう蝕リスク〉
ルーズバンドの放置
セメント合着材の溶出
ボンディングに伴う酸エッチング
レジン系ボンディング材のプラーク吸着性
唾液緩衝能の低下
矯正期間の長期化

*矯正治療後も、ボンディング材のわずかな取り残しや、エッチングによる脱灰の影響で、その傾向は引き続き残る

*PMTCの3原則
急がない
(歯面を)傷つけない
痛みを与えない(術者の一方通行にならないように)

*う蝕予防のコンセンサス
う蝕は感染症である
エナメル質は再石灰化する
う蝕は脱灰・再石灰化のバランスが崩れて脱灰が進む現象である

*フッ素塗布
プロユース  →   フッ化ナトリウム
           モノフルオロリン酸ナトリウム
ホームユース →   フッ化第一スズ


スタッフプログラム
『口腔内感染症の水平・垂直感染』〜暗殺者にもなる口腔内バイオフィルム細菌の感染経路〜 

奥田 克爾先生(東京歯科大学 微生物学講座教授)

口腔内感染症の水平・垂直感染は誰にでも起こりうることである。
母親からの感染が多いと言われているが、母親が一番接する機会が多いという面がある。親子夫婦間でも病原菌は移る。また細菌は、糖で生きていると言われているが、唾液さえも餌にして菌は生存している。そして500種類もの細菌たちは会話をし、結合していき、単体のものが菌にくっつき性質を高め、バイオフィルムとなる。バイオフィルムは膜があるため薬を使っても効果はみられないので、機械的排除が基本とされている。

バイオフィルム
生体防御機構や抗菌剤に抵抗する
ミュータンス菌は蔗糖から、粘着性多糖体を作ってバイオフィルムとなる
蔗糖がなければバイオフィルムにならない
特効薬はない
ブラッシングだけでは、取り除くことが不可能であるため、専門家によるPMTCが必要である 

歯周病菌
生活習慣に関係があり、家族内因子が強く、親→子が多い
より悪い菌が定着する
親子夫婦間でも移るため、口腔内の健康は家族全体で取り組むことが大切


スタッフ交流会
『I-メッセージで伝えるアサーショントレーニング』

村松 いづみ先生(東京都・開業)

"アサーション"とは、自分の考えや意見、気持ちを正直に、また率直に表現するコミュニケーションの事

"I-メッセージ"とは、人と気持ちを通わせる方法の1つで、「私はこう思います」「私はこうしたいです」というように『私』を主語にして気持ちを表現するコミュニケーションの事

I-メッセージを送る3つの要素
相手のどんな行動が受容できないのか 問題なのか
  (その行動を非難がましくなく述べる)
その行動のあなたへの影響を表現する(具体的に)            
その行動および影響についてあなたはどう感じているか
  (あなたの感情を正直に)

問題解決のためのアサーション(DESC法)
D=describe:描写する
  自分が対応しようとする状況や受容できない相手の行動が、自分にどの
  ような影響を与えるかを客観的、具体的に、非難がましくなく描写する

E=express,explain,empathize:表現する、説明する、共感する
  その状況、行動、影響に対して自分自身がどのように感じているか      
 (主観的な気持ち)を表現する

S=specify:特定の提案をする
  相手に望む行動、妥協案、解決策を提案する 
  できるだけ具体的、現実的で、相手が実行することが可能な小さな提案 
  であること

C=choose:選択する
  相手がYesといった場合、Noといった場合の選択肢を準備する


『感想』

 PMTCのお話は、改めてその重要性を感じました。PMTC一つにおいても、ただPMTCをするだけでなく、口腔内の状態に合わせて研磨剤の種類を選択したり、使う道具を選択したりと、プロとしての重要性を改めて認識しました。また、フッ素塗布についても同様なことが言えると思います。濃度にのみ気を配ればいいのではなく、患者さんの口腔内の状態を見て、どの成分のものが適しているのかについて考えて塗布するようにとお話されていました。日頃、フッ素の味に気を配り、なるべく患者さんが不快な思いをしないものを選んでいますが、成分にも配慮していけたらと思います。そして、広島大会に続いて2回目となるスタッフ交流会では、前回と同様で会場内の席が決まっていて、他に歯科医院のスタッフの人達と決められた題材について、グループ内で発表をしました。聞くことは簡単ですが、実際に患者さんに対して応用することは、とても難しいと思います。これから、DESC法を用いて患者さんのモチベーションをあげ、コミュニケーションをとっていきたいです。