#151

広報誌 健康だより 院長 菅沼興明

No.28平成16年秋号に院長が執筆した記事が掲載されました。


歯医者さんからのメッセージ
矯正歯科治療について Part 4

「顎関節症(がくかんせつしょう)ってご存知でしたか?」

 顎関節症(がくかんせつしょう)という疾患を聞いたことが有りますでしょうか?顎の間接やその周りの筋肉の異常によって起こる疾患です。学校歯科検診でも歯並びの悪い不正咬合と共に、最近になって指摘をするようになってきた疾患です。顎関節症は不正咬合と共に急増している現代病の一つでしょう。

 最近、徐々に取り上げられるようになってきましたが、まだ耳慣れない弛緩ではないでしょうか?今回は顎関節の構造と仕組み、顎関節症の症状や原因についてお話ししましょう。

 まず顎関節は耳の穴のすぐ前で、歯を食いしばったときに盛り上がる部分にあります。顎関節を構成しているのは、頭の骨(側頭骨そくとうこつ)のくぼみと、下あごの骨(下顎頭かがくとう)で、これらの骨の表面は薄い線維質である間接軟骨で覆われています。この間に間接円板と呼ばれるコラーゲン線維のかたまりがあり、口を開け閉めするたびに起こる衝撃から2つの骨を守るクッションのような役目をしています。骨同士が直接こすれ合わずにスムーズに動くのは、これらの間に滑液(かつえき)があり、それが潤滑油の役割を担っているためです。また、顎関節の周りにある筋肉も、食べ物を咬む時の間接の動きをサポートしています。こうした筋肉や間接組織などが何らかの原因でダメージを受けると顎関節症が起こるわけです。
顎関節症の症状は、
1 お口を開けたり閉めたりしたときに間接に「カクン」とか「パキ」
  などと雑音がする
2 雑音と共に間接に痛みがある
3 顎の周りやこめかみ、首、肩などの筋肉に、こり、痛みがある
4 お口を開けるときに間接が引っ掛かるように開けにくい
5 お口を開けるときに顎が横にずれて開き、まっすぐに開かない
6 お口がほんの少ししか開けられない
などの症状です。
 
表紙
掲載ページ

※左記の文が内容になります。

 それでは、このように症状はどういったことで発症するのでしょう。主に5つの原因があります。まず、「顎の周辺の筋肉の障害」長時間歯を食いしばっていると、筋肉が収縮して固くなります。その結果、筋肉への血流が悪くなり痛みが起こるものです。次に。「間接円板の障害」これも歯の食いしばりや、うつぶせ寝を続けたりすることで側頭骨と下顎頭の間にある顎関節円板が変形しズレを起こして、口を開けるときに下顎頭が間接円板にぶつかって「カクン」と音がするものです。この場合、間接周囲の筋肉にかかる負担もありますから痛みを伴うこともあります。3番目は「変形性額関節症」歯を食いしばったり、顎の関節への圧迫が長時間続くと、関節症と間接円板が癒着することがあります。このときに無理に口を開けようとすると間接円板や間接軟骨の表面がはがれ、それが修復される過程で間接円板や下顎頭が変形することがあります。4番目は「心理的要因」があります。精神的なストレスがあると痛みを感じやすくなります。また、ストレスによって歯を食いしばることもあります。この心理的要因は、筋肉や先に挙げたつの要因と大きく関係しています。あと、堅い物をうっかりして勢いよく噛んだり、顎を強く打ったりと言った一過性の外傷でおこる「顎関節のねんざ」のようなものもあります。
 顎関節症は、咬み合わせや歯並びが原因で引き起こされると、長い間考えられていましたが、最近の疫学的な調査では、顎関節症と咬み合わせや歯並びは因果関係がないとの報告がされています。しかし、私たちが日常の臨床で見かける患者さんには咬み合わせや歯並びが顎関節症を起こしている要因の1つになっているのではないかと思われる患者さんを見かけます。

 顎関節症かなと思ったら、お早めに歯科医院や口腔外科、矯正歯科医院などにご相談下さい。次回は顎関節症の治療についてお話しさせていただきます。

豊橋市歯科医師会 歯科医 菅沼興明