#138
平成16年7月11日(日)、東京の四谷にて『フッ化物応用の科学と実際』について特別講演を聴きにいきました。講師の眞木吉信先生は東京歯科大学の大学衛生学講座教授でもあり、ライオン歯科衛生研究所付属東京診療所院長として活躍をされています。虫歯予防として今現在フッ素が注目されていますが、フッ素とはどのような効果があるのか、また安全性についても聞いてきました。

フッ素とは
土や水あらゆる食品の中に微量に含まれており、動物も人も毎日少しずつ摂取しています。すべての栄養がそうであるように多すぎても少なすぎても健康にマイナスと言える物。

なぜ齲蝕予防ができるの?
1.ハイドロキシアパタイトの結晶性の向上、フルオロアパタイトの生成、初期脱灰部の再石灰化の促進によって耐酸性を向上させる効果がある。
2.歯垢中細菌の解糖系に対する抗酵素作用により酸産性を抑制する。

フッ化物は安全ですか?
フッ化物による齲蝕予防は諸外国で半世紀前から応用されており、世界保健機構も使用を推奨している。もちろんフッ化物も使い方を誤れば体に有害になり中毒を起こしたりしますが指示された量を守って使えば安全で確実な齲蝕予防となる。

フッ素を使用すれば虫歯にならないの?
フッ化物だけでは100%齲蝕を予防する事はできない。
歯磨きをしっかりと行い規則正しい食生活を心がける事。またかかりつけの歯科医院で定期検診を受ける事が必要。

保健活動
東京都では西暦2010年の歯科保健目標の中でフッ化応用の保健行動について

1.幼児期・学童期・成人・高齢期のフッ化物配合歯磨剤の普及

2.専門的口腔ケアを受ける習慣の定着の目標を定め都民に対する普及啓発を進めている

フッ化物配合の歯磨剤、洗口、歯面塗布について
最近ではフッ素がいろいろなかたちで取り入れる事ができるようになってきました。フッ化物配合のメリット、対象、効果を教えていただいたのでお伝えします

フッ化物配合歯磨剤の特徴
■メリット
 1.日常の歯磨きの組み込む事で簡単に齲蝕予防ができる
 2.だれでも簡単に入手でき日常の歯磨き用具以外に特別な物は必要としない
 3.歯磨剤として用いるため全量を飲み込んでしまう危険は小さくてすむ
 4.フッ化物洗口や定期的なフッ化物歯面塗布と併用できる
  ★水道水のフッ化物添加が行われていない状況では、併用してもフッ化物摂取  
   量が過剰になる心配はなく、安全性に問題はない

■対象と効果
・幼児から成人、高齢者まで生涯を通じて応用できる
 世界で15億人が使用しているといわれている(2000年調べ)
 成人の根面齲蝕にも予防効果が認められている
・齲蝕予防効果は30〜40パーセント程度

【フッ化物配合歯磨剤の見分け方】
医薬品部外の歯磨剤に疾患予防のために配合されている。
成分表示の薬用成分の欄に『モノフルオロリン酸ナトリウム』『フッ化ナトリウム』『フッ化第一スズ』と記載されてる

【フッ化物配合歯磨剤の種類】
ペースト状、泡状歯磨剤、液体歯磨剤
薬事法にかかる承認基準でフッ素濃度が1000ppm以下に定められている

フッ化物洗口の特徴
■メリット
1.簡便であり、安い費用で実施できる
2.フッ素濃度が低く、使用量も少ないので、安全性の高い方法といえる
3.定期的なフッ化物歯面塗布やフッ化物配合歯磨剤と併用できる

■対象と効果
1.30秒から1分間のうがいと吐き出しが上手にできるようになる4歳以上に適した方法
2.永久歯の萌出時期に継続して行うと効果的で、齲蝕をほぼ半減できる
3.歯列矯正装置装着者など齲蝕発生リスクの高い方にも効果的
4.成人においても隣接面齲蝕や根面齲蝕の予防に効果的

毎日法のほうが、毎日の生活習慣の一つとして取り入る意味からも優れているが、今現在、学校では週1回法が採用される事が多い。

■フッ化物洗口の方法で注意すること
ミラノール、オラブリスの顆粒剤は『劇薬』なので子供の手の届かないところに保管する必要がある

フッ化物歯面塗布の特徴
比較的高濃度のフッ化物液や、ゲルを歯面に塗布する方法で専門家が実施する齲蝕予防手段である

■メリット
1.うがいをする必要がないので、低年齢児やうがいのできない人に対するフッ化応用として有効
2.かかりつけ歯科医院で行う方法と、区市町村の保健センターで行う方法がある
3.フッ化物洗口やフッ化物、配合歯磨剤と組み合わせるとさらに効果的

■対象と効果
1.乳歯および永久歯どちらにも効果的
 乳歯の齲蝕予防の効果は40〜50%程度
 永久歯の齲蝕予防の効果は20〜30%程度
2.乳歯の齲蝕予防として、萌出直後の1歳児から応用できます
 (萌出直後には特に効果的)
3.歯列矯正装置装着者口腔乾燥症など齲蝕発生リスクの高い方にも効果的
4.成人では、根面齲蝕の予防として実施されている

【薬剤の種類】
2%リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)溶液、2%リン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)、ゲル2%フッ化ナトリウム(NaF)

【塗布法】
綿球塗布法、歯ブラシゲル法、トレー法、イオン導入法方法によって使用する薬剤も異なるが、効果に変わりはない


感想
眞木吉信先生の話を聞いて感じた事は、患者さんの症状や年齢に合わせた予防法を見極めなければいけないという事を感じました。ただ、予防効果のある物を提供していてもフッ素の力は発揮しにくい事を教えていただきました。
今現在の環境の中で患者さんにあった予防ができたら、虫歯に罹患する人も減らす事ができるのではと感じました。(歯科衛生士 近藤千香)