#128
【Section 3】
インナーコミュニケーションの大切さ



平木 これは広報単独の事業ではありませんが、当会の社会医療委員会が中心になって、一般の方から矯正歯科治療に関する相談を受け付ける「矯正歯科なんでも相談」という公的窓口の開設が近く予定されていますよね。これまで、公平・公正な立場から矯正歯科に対する相談を受け付ける窓口というものがなかったんですが、我々矯正歯科専門医の集まりとしては、社会的な責任としてこうしたものをつくっていこうという動きがカタチになったわけで、これもとてもいいことだと思います。

池森 今までなぜこういうものがなかったかと言うと、クレームへの対応をどうするのかという躊躇があったわけですね。ただ、時代が変化する中で、クレームであれ何であれ、一般からの相談を広く受け付けて対応していこうというふうに医療提供者側の意識が変化してきた。それが窓口の開設につながったんじゃないでしょうか。

平木 そうですね。実際にはクレームというより、もっと初歩的な質問がたくさん寄せられるのではという気がしますが、ただ質問を受ける以上はどうしても難しい問題がからんでくるのは避けられません。そのあたりのことも含めて、こうした窓口をつくっていただけることになったので、広報委員会としても積極的に一般からの質問を受けることができそうです。

■アンケート結果
市民公開講座に関するアンケート結果は後日集計され、問題点を改善しながら次回以降のイベントに生かされている。
(ここでは、昨年8月に名古屋で開催された市民公開講座のアンケート結果より抜粋掲載)

池森 ポータルサイトの中でも、患者さん同士のコミュニケーションを醸成していくうえで、いろんな質問が出てくるはずですからね。そのうちの多くは答えやすいものだと思いますが、なかには答えるのが難しい、配慮が必要なものも出てくるでしょう。そういう相談を最終的に受けていただけるところがあるということは、広報活動をするうえでも非常にプラスになるでしょうね。

平木 これまでは特定の診療所、あるいは診療所の集まりが質問を受け付けるとどうしても集客色が強くなるということがありましたが、我々のような団体が公正な立場で答えることができれば、矯正歯科治療に対する誤解も解いていけますから。

池森 会としても、こうしたことに対応するためにも、いつまでも任意団体では好ましくないので、次年度中には法人化を目指そうとしています。法人化という構想は20年間くらいくすぶっていて、何度も総会の協議題にのぼって会員の意見を拝聴して、その中でどういう法人を目指したらいいのか、あるいは目指すべきではないのかという議論が交わされてきた歴史があります。当時は公益法人を目指していましたが、その時点での社会的な状況、特に会員を取り巻く経済的な環境が現在よりもよかったために、かえって、その必要性を会員が感じていなかったようですね。
 そして、やっとこの時期になって、政府の法人に関しての改革も進みつつあるところで、いよいよ進めていこうと。決して法人化をすることで特定の利益や権益を守ろうというニュアンスではなく、これだけ公共性のあることをやり出したら、必然的に法人でなきゃだめだろうという発想での法人化ですね。
 そういう極めて複合的かつ流動的に物事が動いている中では、最初に菅沼先生がおっしゃったように、インナーコミュニケーションのあり方が大切になります。そのための方策としてどのように考えておられますか?

菅沼 会の情報を発信する場として、現在ホームページやニューズレターがありますが、やはり会員とのコミュニケーションとしては直接会ってお話する機会をもつことが基本でしょうね。広報事業を立ち上げるときも全国行脚という話が出ましたが、今年のように市民公開講座をたくさんの会場で開催する際には、やはりその地域に行って、会員の先生方と会話をする。そういう機会を通じて、いろんなご意見をいただき、また我々の考えていることも話していくことが大事だと思います。

平木 都市部には都市部の、地方には地方のご意見があるでしょうし、それぞれの地域に合わせた方法を考えて行かねばならないわけですからね。

池森 市民公開講座の打ち合わせがよいコミュニケーションになるわけですね。

平木 そうです。単一のお仕着せといった既製服感覚ではなく、イージーオーダーという感覚で、その地域ならではの変化を加えながら考えていけばいいかなと。

池森 究極の目的としては、各地区・各支部で独自に市民公開講座のような地域型の事業を立ち上げて継続して行なってほしいというのがありますから、最初は我々が知っている限りのノウハウをご提供させていただくとして、あとはどんどんアレンジしていっていただけるといいですね。各地区で競い合ってやっていただけるようになるのが理想です。

平木 うれしいことに、これまで開催された地域では、独自に継続させようという機運が盛り上がっていますね。従来ですと、広報活動というと広報の担当者がやるもので、会員はそれを受け入れるための資金を提供しているという感じもありましたが、市民公開講座を通じて会員自身が自分たちで参加しているという意識が盛り上がってきている。これはとてもいいことだと思います。

【表紙】 「矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE(JOP)〕
2004年4月号に院長が登場する座談会が掲載されました。」
【はじめに】広報活動の意味するものー2004年度の取り組みと今後の展望
【Section 1】矯正歯科治療は、今まさに過渡期
【Section 2】切り口の異なる受け皿を用意して
【Section 3】インナーコミュニケーションの大切さ
【Section 4】広報=スローフードで体質の改善を
【Section 5】患者に選ばれる医療機関の条件