#128
【Section 2】
切り口の異なる受け皿を用意して



池森 ところで菅沼先生、今年度の広報活動として、どのようなことをお考えですか?

菅沼 一昨年、昨年と、年を追うごとに会の広報事業がかなり軌道に乗ってきています。ただ、市民公開講座については去年は5か所を目標にしながら3か所でしか実施できませんでした。今年はそのことを踏まえ、さらに支部単位での活動を軌道に乗せるため、全国5か所から7か所で開催したいと考えています。啓発ムックも、もう一冊出してきたいですね。それと、当会の公式ホームページもなかなか検索エンジンでは上位にいかないので、その点を改善したいと思っています。あと公式ホームページとは別に、患者さんの立場で矯正歯科の認知度をあげるようなポータルサイトも、市民公開講座の開催前に立ちあげたいと考えています。

池森 そもそもポータルサイトをつくることになったきっかけと言いますと?

菅沼 ひとつは、今の公式ホームページが固い、ということがありますね(笑)。でもこれは治療者団体の公式なサイトである以上、ある意味しかたがありません。しかし、そういう固めのサイトでは一般の方は見ていて肩が凝ることも事実です。ですから、もっとやわらかい親近感のわくものを別につくって、患者さんのニーズに応えていきたいという思いが基本にありました。

平木 患者さんに対して、矯正歯科治療のメリットについて、我々の口からはなかなか説明できないものなんですよね。言ってみれば、こちらはあくまでも医療の供給者ですから、治療を受ける患者さんと同じ目線で矯正歯科治療を語れない部分があります。そういう意味で、治療を経験された患者さんのリアルな感想やアドバイスを聞くことは、治療についての理解を促すことにつながると思います。つまり、このポータルサイトで患者さんの側が主役になってコミュニケーションを深めていただくことが、本当の意味で矯正歯科のファンを増やし、ひいては我々にとってもプラスになるのではないかと。
 これは前回もお話した通り、ムックをつくったときに感じたことなんです。これまでの多くに印刷物は、提供者側の考えをもとにつくられていました。でも一昨年と昨年に出版した二冊の啓発ムックでは、患者さんの立場で患者さんの声や思いをまとめてみた。いわば、治療に対するシンパの声をデメリットも含めて伝えたことで、一般の方に好感をもって受け入れられたわけです。そういう考え方を生かしていくのが今回のポータルサイトだと考えています。


■市民公開講座の各会場で来場者に配られたアンケート用紙

池森 前回も話題に上りましたが、市民公開講座は回を重ねるごとに、よりよい形で開催できている気がしますね。

菅沼 そうですね。これまでに千葉と名古屋とさいたまで開催されたわけですが、それぞれ来場者の方にアンケートをとりましたので、その意見を次の開催地で生かすようにしているのが功を奏しているのかなと思います。
 たとえば、名古屋では「子ども同伴で参加される方が多くて会場内が騒々しかった」というご意見をいただきました。そこで、さいたまでは託児所を設けましたし、千葉のトークショーでは大人の方にパネリストとしてご登場いただきましたが、千葉のテーマは『大丈夫ですか?子どもの成長と歯並び』でしたので、ちょっとマッチしていませんでした。それを踏まえて、さいたまでは子どもやお母さんの立場から話してもらえるように人選を変えました。そうしたことで、親の立場からの意見や、治療中の子どもの意見、治療を経験した大人の意見をカバーすることができた。こうした積み重ねがイベントとしての満足度を徐々にあげているんだと思います。

池森 では、今年の市民公開講座では新たにどんな改善点を盛り込む予定ですか?

菅沼 やはり来場者アンケートを見ていますと、「治療に関することはある程度わかっているから、その次の段階…たとえばこういう状態ならどう治療を進めるのか、進行はどうなるのかを知りたい」といったご意見が多かったんです。今年はその点を取り入れて、もう少し内容を深く掘り下げたものにしようかと思っています。
 あと、市民公開講座の参加者には、インターネットを見て申し込んできた方がわりと少ないんです。おそらくそういう方は、行動のパターンがちがうんでしょうね。つまり、インターネットを見た人は、やはりインターネットの中である程度の知識を得るので、ああいう場にはなかなか来ない。それはしかたのないことで、逆にそのことを踏まえたうえで、いろんな切り口があっていいと思うんです。たとえば、インターネットを見る人にはネット内での情報の受け皿が、そうではない人たちにはやはりああいう実際の場で情報を提供していく必要があるのかなと。そういう意味でポータルサイトは、一つの有効な切り口だと思いますね。


【表紙】 「矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE(JOP)〕
2004年4月号に院長が登場する座談会が掲載されました。」
【はじめに】広報活動の意味するものー2004年度の取り組みと今後の展望
【Section 1】矯正歯科治療は、今まさに過渡期
【Section 2】切り口の異なる受け皿を用意して
【Section 3】インナーコミュニケーションの大切さ
【Section 4】広報=スローフードで体質の改善を
【Section 5】患者に選ばれる医療機関の条件