#128
【Section 1】
矯正歯科治療は、今まさに過渡期



池森 会として広報活動が活発になってくると、本会の会員や会員ではない矯正歯科専門開業医の方々から、「広報以外の事業はどうなっているのか」というお声をいただくことがあります。もちろん、それ以外の事業も今までと同じか、あるいはそれ以上のレベルで遂行されているわけですが、目に見える形で記録が残る広報活動のほうがどうしても目立ってしまいがちなんですね。我々はそういう内外からの声に対して、事業計画全体、つまり「広報活動以外にもこのような事業を行っています」というアナウンスを継続的に行なう必要があると思います。こうした取り組みも広報活動の一環で、内部に対する情報発信を強化することにもつながると思うからです。
 ところで、菅沼先生はこれまでの広報活動を経て、今、我々に何が求められているとお考えですか?

菅沼 やはり大切なのは「活動そのものを継続させていくこと」じゃないでしょうか。そのために重要なのは、今、池森先生がおっしゃったように、会員の中での意思統一やコンセンサスをいかに得ていくかが重要になると思います。

平木 そういう状況にあるということは、別の見方をすると、今、矯正歯科治療というものが世間に認知されつつある過渡期にさしかかっているんだと思うんです。これまでは特定の人が受けていた特別な治療という見方がされてきましたが、最近になって患者さんのすそ野が広がって、国民一般に受け入れられ始めた。経済学的に見ても、新しい何かを経験したり、所有したりする率が全体の10%を超えると、その後、爆発的に立ち上がるという経済理論があるそうです。それで言いますと、今の日本における矯正歯科治療がまさに当てはまるんですね。つまり、アメリカ並みの水準に、だんだん近づきつつあるのかなと。
 たとえるならば、「学習塾」もそうだったと思うんです。我々が子どもの頃は塾に通うのは限られた子どもたちでした。教育は公教育がメインで、私立の教育は限られた人が受けるものだったわけです。でも、学習塾がどんどん一般化して、今では行くのがむしろ当たり前になった。それと同じように、矯正歯科治療も不正咬合がある人は治すのが当たり前の時代がくるのではないでしょうか。

菅沼 その時期に広報活動を行うのは、とても重要な意味がありますね。

平木 まさにそうですね。今までだと自分の診療所に来院される患者さんの数がある程度ないと診療所を維持できないこともあり、患者さんの増減で一喜一憂していたのが現実ですが、もっと大きな目で社会の中で矯正歯科治療がどういう位置を占めているのかに会員の多くが目を向け始めた。そのところに、本当の意味での広報活動の効果があったのではないかと思っています。

【表紙】 「矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE(JOP)〕
2004年4月号に院長が登場する座談会が掲載されました。」
【はじめに】広報活動の意味するものー2004年度の取り組みと今後の展望
【Section 1】矯正歯科治療は、今まさに過渡期
【Section 2】切り口の異なる受け皿を用意して
【Section 3】インナーコミュニケーションの大切さ
【Section 4】広報=スローフードで体質の改善を
【Section 5】患者に選ばれる医療機関の条件