|
2003年2月12日〜14日まで、東京新宿のヒルトンホテル東京で行われた、MBT Course VIを小嶋先生と受講してきました。その模様をレポートします。

|

向かって右がDr.McLughlin。左がDr.Arnett
|
今回参加したMBT Course VIはMBT Courseに新しく新設されたコースで、カリフォルニア州サンディエゴで矯正専門開業されているDr.Richard McLaughlinとカリフォルニア州サンタバーバラで外科矯正専門医として開業している口腔外科医のDr. G.William Arnettの2人のDr.のセッションで行われました。
矯正歯科治療において、上下顎骨のズレが大きいが場合には矯正治療のみでは、咬合を治すことが困難になります。また、無理をして矯正治療のみで治療をしても治療後の安定性の問題や、歯周組織や顎関節に問題を起こすこともあります。ましてや顔貌の不調和は残り美審美的改善は望めません。そこで口腔外科医との協力により矯正歯科治療と顎骨の外科的移動を行う、外科矯正が不可欠になってきます。
Dr.Arnettは外科矯正専門で開業しており年間100症例の治療を行い、その他は研究や指導に時間を費やしています。USC、UCLA、Loma Linda、UCSFで卒後教育の客員教授を務め、また国際的にも講演活動を行っている著名な口腔外科医です。彼の講演は以前にE.H.Angle Society of Orthodontists Southern California ComponentのMeetingでお聞きしたことがありますが、素晴らしい症例を見せていただました。
今回の講演では3日間コースであり期待をして受講しました。まず、Dr.Arnettは矯正歯科治療が模型分析やセファロ分析でも頭蓋低を基準としたSNやFHを基準とした分析では、上下顎の位置の評価が不十分であり、そのために矯正歯科治療によりI級咬合関係に治療した場合、顔貌が悪化する場合があることを症例を呈示しお話しされました。顔貌が悪化したり顔貌改善の可能性を逃すのは不十分なフェイシャル・プランニングの結果であり、模型分析と従来のセファロ分析に夜診断では十分なフェイシャル・プランニングが出来ないとのことです。
Dr.Arnettは診査の重要性を説明され、そのために実際の患者さんの顔において色々な部分を計測するそうです。また、顔貌を基準とした咬合治療を計画することが重要とのことです。彼は彼自身が開発した軟組織のセファロ分析(Soft tissue cephalometric analysis:STCA)と(Cephalometric treatment planning:CTP)を紹介されました。STCAで用いるセファロには自然頭位や、口唇をリラックスさせたり、CR Biteでなど撮影条件があり、そこから求められる(True Vertical Line:TVL)が基準になり計測が行われます。コンピュータを駆使し、Dolphinというソフトを用いArnett-McLoughlin Analysisとして軟組織の分析を紹介しされ、軟組織セファロによる治療計画(CTP)の7つのステップについて説明されました。CTPの7つのステップは1.上顎中切歯の傾斜、2.下顎中切歯の傾斜、3.上顎中切歯の位置、4.下顎を回転させる、5.上下顎中切歯のオーバージェット、6.上下顎咬合平面の設定、7.理想的なPogonion、となっています。この7ステップのCTPにより顔貌が是正されることをDolphinの画像で示されました。この7つのプランの中で矯正歯科医が治療を行うのは1と2のみで、後は口腔外科医が行う治療です。特に6.咬合平面の設定が、顔貌改善に重要な影響を及ぼしているとのことを、実例を挙げて説明していただきました。
Dr.Arnettの症例の内訳は65%がII 級(上顎前突)、35%がIII級(下顎前突)だそうです。日本ではその比率が反対になるのではないかと話していました。70%の症例が上下顎の手術を行う症例で、30%が片顎(上顎のみか、下顎のみ)の手術症例だそうです。特に上顎下顎後退症例で、上顎下顎共に前方移動する症例が最も多いそうです。
Arnett-McLoughlinのSoft tissue cephalometric analysisを導入したことにより、手術結果の質が向上したそうです。また、手術の際にリラプスを防ぐコツなどもお話になられました。
彼の手術の費用は$30,000だそうです。$1=¥120として計算すると360万円になります。また、入院などの病院費用は別料金だそうです。通常は1泊の入院で手術を行うそうです。
日本では口腔外科での手術は健康保険が適応されるので、約10分の1程度の患者負担金で手術費と入院まで料金がまかなえてしまいます。手術料金の面では大変恵まれていますが・・・。しかし、1泊の入院は入院費用が自費であることが要因の1つであるにしても、かなり短い気がしますが、入院期間が短いことは見習うべきです。日本では未だに6週間も入院しなければならない医療機関もあり、社会人では仕事を辞めなければ手術に踏み切れない場合もあります。
|
|
Dr.McLaughlinは主に外科矯正の症例と矯正治療のみの症例のボーダーラインケースについてお話になられました。診断を行い患者さんに説明する際にも、DolphinによるSoft tissue cephalometric analysisを使って患者さんにコンサルテーションを行うことが理想的な顔貌を目標にした治療の説明と、矯正治療のみによる、歯列咬合の改善を行った場合との 比較を患者さんが選択できるようになり、非常にコンサルテーションが行いやすくなったとのことでした。実際に彼の診療室では年間の患者数約500人のうちの20人〜30人が外科症例であるとのことなので、約4〜6%であり、日本の診療室の現状と比較してもそれほど外科症例が多いわけではないようです。年間の患者数が多いのには驚きました・・・。
私の医院でも、成人の方の矯正治療が非常に多くなってきています。かみ合わせや歯列のみならず、上下顎のバランスを整え審美的にもより良くなろうと思うのは人間ならば当たり前のことです。私は幸いにも、外科矯正を東京歯科大学口腔外科の先生とチームを組んで行っている関係で、上下顎の同時移動術が行えますし、上顎前突、反対咬合、非対称どの症例に対しても対応でき、入院期間も10日〜14日ほどで行っていただいています。口腔外科医の技術が未熟だったりすると、外科矯正を行う際にも反対咬合で、しかも下顎を後方に移動する手術しか行えなかったりします。私は「豊橋のような地方都市でも、国際的にトップレベルのクオリティーの矯正歯科治療を多くの患者さんに提供できるようにしたい」と思っています。現状では外科矯正についてはずいぶん口腔外科医の技量に差があるように思います。早く日本の地方の病院の口腔外科の技術レベルが向上することを願っています。 |
|
|
|