#012

Question.
歯並びが悪くなる要因にはどんなものがあるのでしょうか?


2001年7月30日
 東愛知新聞朝刊

Answer.
三つ目にはお口をとりまく環境による後天的な要素が挙げられます。これは、悪習癖やお口の近くにある鼻や喉の病気による影響によって、お口や顎の周りの筋肉のバランスの不調和が生じそれが不正咬合の原因となってきます。不正咬合を誘発する代表的な悪習癖に「指しゃぶり(拇指吸引癖)」があります。その他にも、「口呼吸」「異常嚥下癖」「舌突出癖」「低位舌」「片咀嚼」「頬杖」などかみ合わせに影響を及ぼし、不正咬合を生じさせるような悪習癖があります。また、鼻炎やアデノイドによる鼻呼吸障害や、扁桃線肥大なども不正咬合の原因となります。その一つの例について説明してみましょう。最近のお子さんにはアレルギー性鼻炎がかなり多く、鼻が詰まり「鼻呼吸」がしづらい状態のお子さんをよく見かけます。このようなお子さんの呼吸は「口呼吸」になり、常にお口をポカーンと開けていることが多くなります。なぜ「口呼吸」が不正咬合の原因になるのでしょうか?それは、歯の位置・歯列は周りの筋肉から受ける力や、上下の歯が咬み合わさる力(咬合力)によって位置が保たれています。しかし「口呼吸」により、常にお口をポカーンと開けている状態が続くと、いつも上下の歯は噛み合っておらず、また、お口の外側の筋肉、特にほっぺたの筋肉により、上顎の歯列は内側に押されます。そのとき舌が内側から歯列を支えていればよいのですが、「口呼吸」のお子さんからなるべくたくさんの空気を吸い込もうとして舌を下顎の歯列の方に下げていることが多く、ほっぺたの筋肉を対して内側からの舌の筋肉の抵抗がなくなります。このことにより、上顎の歯列は横幅が狭くなり、歯列は前方に押し出され、出っ歯になってくるのです。鼻や喉の病気を適切な時期に治療をすることも、成長過程において良い歯並びを獲得するためには必要なことです。
以上のようなことが大きな問題として挙げられますが、その他に虫歯によって乳歯を早く失ってしまうことや、乳歯の虫歯を放置しておくことも永久歯への交換がスムーズに行かず歯並びが悪くなる原因に挙げられます。いずれにしろこのような問題が、複雑に絡み合って不正咬合は起こっています。このように遺伝子的な要因だけではなく、お口をとりまく環境や、悪習癖によっても不正咬合は引き起こされるのです。

菅沼與明
2001年7月30日 東愛知新聞朝刊掲載