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| 2011 |

2011年6月22日に愛知県名古屋市中区栄のダイテックサカエで開催された第137回中日本矯正歯科医会に出席し矯正歯科治療治験例の症例発表をしてきました
2011年6月22日(水)に愛知県名古屋市中区栄のダイテックサカエで開催された第137回 中日本矯正歯科医会に出席し、矯正歯科治療治験例の症例発表をしてきました。

今回は私に矯正歯科治療治験例の症例発表を行う順番が回ってきました。いつも、中日本矯正歯科医会での発表は緊張します。それは、この愛知、岐阜、三重の矯正歯科専門開業医で高名な先生が会員として名を連ねているからです。
今回、私は会員の先生方に興味を持って聞いていただけそうな症例を選択し、約1ヶ月ぐらい掛けて診療の合間や、診療終了後に残業したりと、こつこつとプレゼンテーションを準備しました。 この準備期間は自分にとっても日常の忙しい矯正歯科臨床ではなかなかチェックできない細かな部分までチェックをしてとても勉強になりました。
そして発表に向けて勉強をしたお陰で、会場からの会員の厳しい質問に対しても想定していた質問で、納得していただける回答をすることができました。症例発表終了後にも何人かの先生から症例に関しての質問やアドバイスをいただいたり、移植の方法や手順などに関してのディスカッションもでき有意義な発表になりました。

下記に今回の例会プログラムと、私の症例発表の抄録を掲載します。

第137回 中日本矯正歯科医会 例会
日 時 : 2011年6月22日 水曜日
場 所 :ダイテックサカエ(旧マナハウス)
13:00 受付
13:30 理事会報告
14:00 会員発表
佐々木貴浩会員「こども達の育成と矯正歯科」
佐々木崇而会員
16:00 休憩 症例閲覧
16:15 症例発表
金井鐘秀会員「骨格性顎偏位症、上下顎顎切除による治験例」
田中進平会員「CO-CRの異なる臼歯部抜歯症例」
菅沼與明会員「上顎の便宜抜歯歯牙を下顎の先天欠如歯部に自家歯牙移植を行なった             下顎に3本の先天欠如を有する叢生症例」
17:30 終了

 

菅沼與明 症例発表 抄録
「上顎の便宜抜歯歯牙を下顎の先天欠如歯部に自家歯牙移植を行なった
下顎に3本の先天欠如を有する叢生症例 」

【緒言】 矯正歯科臨床で治療方法を悩む症例として、複数の先天欠如歯を有する症例があり、 最近このような症例にしばしば遭遇する。今回、下顎に前歯1本と両側第2小臼歯の 合計3本の先天欠如を伴う叢生症例に対し、紹介医と連携して上顎の便宜抜歯歯牙を 自家歯牙移植し矯正歯科治療を行った。良好な治療結果が得られ安定した咬合状態が 維持されているので報告させて頂きます。

【症例の概要】 患者は初診時年齢23歳11ヶ月の女性で、叢生の改善を主訴に一般歯科より紹介され て来院した。顎関節症の既往があり顎関節部や頭頚部の筋肉に疼痛があったとのこと で、数ヶ月前より紹介医にてSplint を使用して顎関節症の治療を行い、来院時には顎 関節症の症状は認められなかった。顔貌所見は正貌では顔面非対称があり、下顎がや や右側に偏位していた。 口腔内所見では、大臼歯関係は右側Angle Class II、左側はAngle Class IIIで、上顎 では叢生が認められた。下顎両側第2乳臼歯が晩期残存し、咬合平面まで達しておら ず低位でアンキローシスの可能性が予測された。また、下顎前歯はthree incisorsであ った。パノラマレントゲン所見で確認すると、下顎両側第2小臼歯は先天欠如し、下 顎前歯部にも埋伏歯などは無かった。歯冠形態などから下顎左側側切歯が先天欠如し ていると判断した。 上下顎左側側切歯の早期接触により、COとCRにズレが認められた。 セファロ分析の側貌では垂直的にはBrachy Facal Typeで、上下顎の前後的関係は上 顎前突傾向があった。上下前歯の前後的な位置は正常であったが、上顎前歯の歯軸は 口蓋側傾斜していた。正貌では左右の非対称が顕著で、下顎正中が右方に偏位してい た。

【診断・治療方針】 Angle Class II、叢生、骨格性非対称(下顎右偏)下顎左側側切歯・下顎両側第2小臼 歯の3歯が先天欠如 患者には顔棒の非対称を改善するためには、上下顎の手術を併用しての外科的矯正歯 科治療を行わなければならないことを説明したが、手術は行いたくないとのことで、 矯正歯科治療のみで咬合の改善を希望されたために下記のような治療方針とした。 上顎両側第1小臼歯・下顎両側第2乳臼歯抜歯。尚、抜歯した上顎第1小臼歯を下顎 左側第2乳臼歯抜歯部に自家歯牙移植を行うこととした。 装置は.022”x.028”slot sizeのPreformed & Preadjusuted Appliance System(MBT Set up)を用いsliding mechanicsにて治療を行った。上顎大臼歯のアンカレッジにはTrance palatal archを使用した。

【結果・考察】 動的治療期間は2年2ヶ月で、良好な咬合状態が得られた。リテンション中に移植歯 は補綴治療を行い、動的矯正歯科治療終了から4年以上経過した現在でも問題なく同 歯は維持されている。動的矯正歯科治療中に結婚、妊娠、出産。育児などが大きく環 境変化があったが、動的矯正歯科治療期間も大幅に延長することなくほぼ予定通りの 期間で終了出来た。上顎右側第3大臼歯以外の智歯に関しては動的矯正歯科治療の後 半、出産後とリテンション中に抜歯して頂いた。上顎右側第3大臼歯は矮小歯で移植 歯が保存不能になった場合に移植が出来る可能性があるので抜歯せずに保存している。 当然ながら顔貌非対称は改善されなかったが、患者は咬合状態や顎関節症の症状から も解放され満足している。 今後、継続して予後を観察していきたいと考えている。 この症例から複数歯欠如に対して自家歯牙移植を行って矯正歯科治療を行うことは有 効であると感じた。また、移植を担当する一般歯科医や口腔外科医等とのスムーズな 連携が不可欠であることを実感した。