愛知県豊橋市の矯正歯科【菅沼矯正歯科】(豊川市 蒲郡 田原市 新城市 湖西 岡崎市 浜松市)
菅沼矯正歯科 HOME>トピックス

| 2004 |

2004年4月 「矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE(JOP)〕2004年4月号」に院長が登場する座談会が掲載されました


矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE(JOP)〕2004年4月号に1月号、2月号に引き続いて、「日本臨床矯正歯科医会の取り組み シリーズ3 広報活動の意味するもの  ー2004年度の取り組みと今後の展望」と題して、池森由幸先生(日本臨床矯正歯科医会・専務理事/いけもり矯正歯科 名古屋市)と平木建史先生(日本臨床矯正歯科医 会・広報担当理事/ひらき矯正歯科 大阪市)と、私の座談会が掲載されました。私が2002年度から日本臨床矯正歯科医会の広報委員会の委員になり、 2003年度からは広報委員会委員長として広報活動を行っています。掲載された対談の内容は、今年度2004年度の日本臨床矯正歯科医会が予定している広報活動の内容から、さらに将来的な広報活動の展開、今後、矯正歯科専門医や矯正歯科専門医院に求められる事などにも及んでいます。

ご興味のある方は是非ご一読ください。

【はじめに】
広報活動の意味するものー2004年度の取り組みと今後の展望

出席者(順不同、敬称略)
池森由幸(日本臨床矯正歯科医会・専務理事/いけもり矯正歯科 名古屋市)
平木建史(    〃     ・広報担当理事/ひらき矯正歯科 大阪市)
菅沼與明(    〃     ・広報委員会委員長/菅沼矯正歯科 豊橋市)


2003年の活動内容を踏まえ、日本臨床矯正歯科医会は本年度も広報事業を積極的に展開する。なかでも今年は、昨年、千葉(千葉市)、東海(名古屋市)北関東(さいたま市)の3支部・各都市で開催された「市民公開講座」をさらに多くの支部で開催したり、啓発ムックの第3弾を制作するといった継続的な事業計画のほか、患者さんの立場に立ったポータルサイトの開設など、新しい事業も盛り込まれる予定だ。シリーズ3回目の今回は、こうした様々な取り組みとともに、今後の展望や矯正歯科専門医に求められるパーソナルな資質などについても紹介する。


左から
'01-'02年度の広報委員会委員長を務めた池森由幸先生(現・専務理事)
同じく'01-'02年度広報担当理事の平木建史先生(現・広報担当理事)
そして'03年度より広報委員長に就任した菅沼與明先生


【section1】
矯正歯科治療は、今まさに過渡期

池森 会として広報活動が活発になってくると、本会の会員や会員ではない矯正歯科専門開業医の方々から、「広報以外の事業はどうなっているのか」というお声をいただくことがあります。もちろん、それ以外の事業も今までと同じか、あるいはそれ以上のレベルで遂行されているわけですが、目に見える形で記録が残る広報活動のほうがどうしても目立ってしまいがちなんですね。我々はそういう内外からの声に対して、事業計画全体、つまり「広報活動以外にもこのような事業を行っています」というアナウンスを継続的に行なう必要があると思います。こうした取り組みも広報活動の一環で、内部に対する情報発信を強化することにもつながると思うからです。
ところで、菅沼先生はこれまでの広報活動を経て、今、我々に何が求められているとお考えですか?

菅沼 やはり大切なのは「活動そのものを継続させていくこと」じゃないでしょうか。そのために重要なのは、今、池森先生がおっしゃったように、会員の中での意思統一やコンセンサスをいかに得ていくかが重要になると思います。

平木 そういう状況にあるということは、別の見方をすると、今、矯正歯科治療というものが世間に認知されつつある過渡期にさしかかっているんだと思うんです。これまでは特定の人が受けていた特別な治療という見方がされてきましたが、最近になって患者さんのすそ野が広がって、国民一般に受け入れられ始めた。経済学的に見ても、新しい何かを経験したり、所有したりする率が全体の10%を超えると、その後、爆発的に立ち上がるという経済理論があるそうです。それで言いますと、今の日本における矯正歯科治療がまさに当てはまるんですね。つまり、アメリカ並みの水準に、だんだん近づきつつあるのかなと。
たとえるならば、「学習塾」もそうだったと思うんです。我々が子どもの頃は塾に通うのは限られた子どもたちでした。教育は公教育がメインで、私立の教育は限られた人が受けるものだったわけです。でも、学習塾がどんどん一般化して、今では行くのがむしろ当たり前になった。それと同じように、矯正歯科治療も不正咬合がある人は治すのが当たり前の時代がくるのではないでしょうか。

菅沼 その時期に広報活動を行うのは、とても重要な意味がありますね。

平木 まさにそうですね。今までだと自分の診療所に来院される患者さんの数がある程度ないと診療所を維持できないこともあり、患者さんの増減で一喜一憂していたのが現実ですが、もっと大きな目で社会の中で矯正歯科治療がどういう位置を占めているのかに会員の多くが目を向け始めた。そのところに、本当の意味での広報活動の効果があったのではないかと思っています。



【section2】
切り口の異なる受け皿を用意して

池森 ところで菅沼先生、今年度の広報活動として、どのようなことをお考えですか?

菅沼 一昨年、昨年と、年を追うごとに会の広報事業がかなり軌道に乗ってきています。ただ、市民公開講座については去年は5か所を目標にしながら3か所でしか実施できませんでした。今年はそのことを踏まえ、さらに支部単位での活動を軌道に乗せるため、全国5か所から7か所で開催したいと考えています。啓発ムックも、もう一冊出してきたいですね。それと、当会の公式ホームページもなかなか検索エンジンでは上位にいかないので、その点を改善したいと思っています。あと公式ホームページとは別に、患者さんの立場で矯正歯科の認知度をあげるようなポータルサイトも、市民公開講座の開催前に立ちあげたいと考えています。

池森 そもそもポータルサイトをつくることになったきっかけと言いますと?

菅沼 ひとつは、今の公式ホームページが固い、ということがありますね(笑)。でもこれは治療者団体の公式なサイトである以上、ある意味しかたがありません。しかし、そういう固めのサイトでは一般の方は見ていて肩が凝ることも事実です。ですから、もっとやわらかい親近感のわくものを別につくって、患者さんのニーズに応えていきたいという思いが基本にありました。

平木 患者さんに対して、矯正歯科治療のメリットについて、我々の口からはなかなか説明できないものなんですよね。言ってみれば、こちらはあくまでも医療の供給者ですから、治療を受ける患者さんと同じ目線で矯正歯科治療を語れない部分があります。そういう意味で、治療を経験された患者さんのリアルな感想やアドバイスを聞くことは、治療についての理解を促すことにつながると思います。つまり、このポータルサイトで患者さんの側が主役になってコミュニケーションを深めていただくことが、本当の意味で矯正歯科のファンを増やし、ひいては我々にとってもプラスになるのではないかと。
これは前回もお話した通り、ムックをつくったときに感じたことなんです。これまでの多くに印刷物は、提供者側の考えをもとにつくられていました。でも一昨年と昨年に出版した二冊の啓発ムックでは、患者さんの立場で患者さんの声や思いをまとめてみた。いわば、治療に対するシンパの声をデメリットも含めて伝えたことで、一般の方に好感をもって受け入れられたわけです。そういう考え方を生かしていくのが今回のポータルサイトだと考えています。


■市民公開講座の各会場で来場者に配られたアンケート用紙

池森 前回も話題に上りましたが、市民公開講座は回を重ねるごとに、よりよい形で開催できている気がしますね。

菅沼 そうですね。これまでに千葉と名古屋とさいたまで開催されたわけですが、それぞれ来場者の方にアンケートをとりましたので、その意見を次の開催地で生かすようにしているのが功を奏しているのかなと思います。
たとえば、名古屋では「子ども同伴で参加される方が多くて会場内が騒々しかった」というご意見をいただきました。そこで、さいたまでは託児所を設けましたし、千葉のトークショーでは大人の方にパネリストとしてご登場いただきましたが、千葉のテーマは『大丈夫ですか?子どもの成長と歯並び』でしたので、ちょっとマッチしていませんでした。それを踏まえて、さいたまでは子どもやお母さんの立場から話してもらえるように人選を変えました。そうしたことで、親の立場からの意見や、治療中の子どもの意見、治療を経験した大人の意見をカバーすることができた。こうした積み重ねがイベントとしての満足度を徐々にあげているんだと思います。

池森 では、今年の市民公開講座では新たにどんな改善点を盛り込む予定ですか?

菅沼 やはり来場者アンケートを見ていますと、「治療に関することはある程度わかっているから、その次の段階…たとえばこういう状態ならどう治療を進めるのか、進行はどうなるのかを知りたい」といったご意見が多かったんです。今年はその点を取り入れて、もう少し内容を深く掘り下げたものにしようかと思っています。
あと、市民公開講座の参加者には、インターネットを見て申し込んできた方がわりと少ないんです。おそらくそういう方は、行動のパターンがちがうんでしょうね。つまり、インターネットを見た人は、やはりインターネットの中である程度の知識を得るので、ああいう場にはなかなか来ない。それはしかたのないことで、逆にそのことを踏まえたうえで、いろんな切り口があっていいと思うんです。たとえば、インターネットを見る人にはネット内での情報の受け皿が、そうではない人たちにはやはりああいう実際の場で情報を提供していく必要があるのかなと。そういう意味でポータルサイトは、一つの有効な切り口だと思いますね。



【Section3】
インナーコミュニケーションの大切さ

平木 これは広報単独の事業ではありませんが、当会の社会医療委員会が中心になって、一般の方から矯正歯科治療に関する相談を受け付ける「矯正歯科なんでも相談」という公的窓口の開設が近く予定されていますよね。これまで、公平・公正な立場から矯正歯科に対する相談を受け付ける窓口というものがなかったんですが、我々矯正歯科専門医の集まりとしては、社会的な責任としてこうしたものをつくっていこうという動きがカタチになったわけで、これもとてもいいことだと思います。

池森 今までなぜこういうものがなかったかと言うと、クレームへの対応をどうするのかという躊躇があったわけですね。ただ、時代が変化する中で、クレームであれ何であれ、一般からの相談を広く受け付けて対応していこうというふうに医療提供者側の意識が変化してきた。それが窓口の開設につながったんじゃないでしょうか。

平木 そうですね。実際にはクレームというより、もっと初歩的な質問がたくさん寄せられるのではという気がしますが、ただ質問を受ける以上はどうしても難しい問題がからんでくるのは避けられません。そのあたりのことも含めて、こうした窓口をつくっていただけることになったので、広報委員会としても積極的に一般からの質問を受けることができそうです。

■アンケート結果
市民公開講座に関するアンケート結果は後日集計され、問題点を改善しながら次回以降のイベントに生かされている。
(ここでは、昨年8月に名古屋で開催された市民公開講座のアンケート結果より抜粋掲載)

池森 ポータルサイトの中でも、患者さん同士のコミュニケーションを醸成していくうえで、いろんな質問が出てくるはずですからね。そのうちの多くは答えやすいものだと思いますが、なかには答えるのが難しい、配慮が必要なものも出てくるでしょう。そういう相談を最終的に受けていただけるところがあるということは、広報活動をするうえでも非常にプラスになるでしょうね。

平木 これまでは特定の診療所、あるいは診療所の集まりが質問を受け付けるとどうしても集客色が強くなるということがありましたが、我々のような団体が公正な立場で答えることができれば、矯正歯科治療に対する誤解も解いていけますから。

池森 会としても、こうしたことに対応するためにも、いつまでも任意団体では好ましくないので、次年度中には法人化を目指そうとしています。法人化という構想は20年間くらいくすぶっていて、何度も総会の協議題にのぼって会員の意見を拝聴して、その中でどういう法人を目指したらいいのか、あるいは目指すべきではないのかという議論が交わされてきた歴史があります。当時は公益法人を目指していましたが、その時点での社会的な状況、特に会員を取り巻く経済的な環境が現在よりもよかったために、かえって、その必要性を会員が感じていなかったようですね。
そして、やっとこの時期になって、政府の法人に関しての改革も進みつつあるところで、いよいよ進めていこうと。決して法人化をすることで特定の利益や権益を守ろうというニュアンスではなく、これだけ公共性のあることをやり出したら、必然的に法人でなきゃだめだろうという発想での法人化ですね。
そういう極めて複合的かつ流動的に物事が動いている中では、最初に菅沼先生がおっしゃったように、インナーコミュニケーションのあり方が大切になります。そのための方策としてどのように考えておられますか?

菅沼 会の情報を発信する場として、現在ホームページやニューズレターがありますが、やはり会員とのコミュニケーションとしては直接会ってお話する機会をもつことが基本でしょうね。広報事業を立ち上げるときも全国行脚という話が出ましたが、今年のように市民公開講座をたくさんの会場で開催する際には、やはりその地域に行って、会員の先生方と会話をする。そういう機会を通じて、いろんなご意見をいただき、また我々の考えていることも話していくことが大事だと思います。

平木 都市部には都市部の、地方には地方のご意見があるでしょうし、それぞれの地域に合わせた方法を考えて行かねばならないわけですからね。

池森 市民公開講座の打ち合わせがよいコミュニケーションになるわけですね。

平木 そうです。単一のお仕着せといった既製服感覚ではなく、イージーオーダーという感覚で、その地域ならではの変化を加えながら考えていけばいいかなと。

池森 究極の目的としては、各地区・各支部で独自に市民公開講座のような地域型の事業を立ち上げて継続して行なってほしいというのがありますから、最初は我々が知っている限りのノウハウをご提供させていただくとして、あとはどんどんアレンジしていっていただけるといいですね。各地区で競い合ってやっていただけるようになるのが理想です。

平木 うれしいことに、これまで開催された地域では、独自に継続させようという機運が盛り上がっていますね。従来ですと、広報活動というと広報の担当者がやるもので、会員はそれを受け入れるための資金を提供しているという感じもありましたが、市民公開講座を通じて会員自身が自分たちで参加しているという意識が盛り上がってきている。これはとてもいいことだと思います。



【Section4】
広報=スローフードで体質の改善を

池森 ちょっと話がずれますが、うちの診療所の場合、広報活動の内容そのものが引き金になって来院された患者さんが目立って増えたわけではありません。ただし、積極的で具体的な広報活動が行なわれるようになったことで治療を取り巻く多くの人々の意識レベルが上がってきたということは言えると思います。つまり、広報活動に直接参加したり、広報活動で使われるグッズを目の当たりにすることによって、各診療所の先生だけでなく、スタッフも意識が上がってくるわけです。
もちろん、それは先に述べたように内部への広報が必要ですので、診療所の院長はスタッフにも情報を伝えて診療所を取り巻く環境の把握を共有しなければなりませんが、そういう観点でいくと、明らかに各診療所にとっても効果はあるんですね。というのも、スタッフが患者さんにいろんな話をする中で、患者さんは矯正歯科治療について自分の診療以外の知識も得ます。そして、得た知識を患者さんがまわりのご友人などに話をして、結果的にそのご友人が患者さんになるという図式が成り立つわけですから。
ひとつの広報事業が、即、直接的に会員の経営状態に影響するわけではありませんが、治療の中ではムックや新しくつくったパンフレットなども使っていますし、そのことがスタッフとの話題の共有にもなりますので、各診療所単位で努力をしていれば、将来的な成果につながるのではと思っています。言ってみれば、北風と太陽のお話のようなものではないでしょうか。

平木 そうですね。よく「患者さんにムックなどを贈呈しても、すでに患者さんなんだから知っていることばかりが載っていて意味がないのでは」と言われることがあります。でも、ある患者さんのまわりにはその方の治療に注目しているギャラリーが必ずいるんですね。ですから、ムックを手渡したら、その本は患者さんの手元にとどまらずに、関心のあるギャラリーのもとに行くことになる。つまり、そういう方の関心をさらに深めることができるんです。なので今、診療所を訪れている患者さんにどう広報していくか、いわゆる草の根広報ですが、これが大切なんだろうなと。もちろん、会として全国レベルで行なう広報も大切ですが、それだけではなくて、それぞれの診療室を通じて、あるいは患者さんを通じての広報が一つひとつ実を結んでいくんじゃないかと思いますね。

池森 ある方がこの会の広報活動をご覧になって、「これは身体の弱っている人に特効薬と思われる注射をしているようなものだ」とおっしゃいました。そして、「その特効薬が効かなかったらどうなるか?とか、いつまでも注射を打ち続けなければならないか?と言う疑問が出てきたらどうされるのですか?」とお尋ねをいただいたことがあります。
けれど、広報というのは本来、「スローフード」のようなものだと思うんです。そんなふうに意識を切り替えていただかないと、効果がすぐに目に見えないと「どうしてくれるんだ」ということになってしまう。もちろん、スローフードでも効果は出てきてほしいわけですが、それはしばらく先のこと。即効性よりも心身ともに無理なく徐々に健康になればいいじゃないという発想がスローフードなんですね。我々自身がこの発想に切り変わらない限り、地域で軋轢が生じるでしょう。反対に、スローフードという発想でいる限り、同じスローフードを掲げている診療所が何軒かあっても、相乗効果にこそなっても、軋轢にはならないはずです。銀座の街中にブランド店がたくさん並んでいるのが相乗効果になるのと同じように。

平木 まさに広報は体質改善ですよね。

池森 体質改善だからこそ、受け取るだけじゃだめなんですね。自分自身が運動したり、継続させる気持ちを持たないと。

菅沼 徐々にですが、うちもここ2、3年くらいで患者さんからの紹介が増えてきているのは感じますね。なぜかとよく考えますと、広報ツールが充実してきて、それを初診や治療の中で活用していることと無関係ではないのかなと思えます。



【Section5】
患者に選ばれる医療機関の条件

平木 「人に伝える」という意味では、日ごろの診療所での患者さんとのコミュニケーションも広報活動のひとつですね。大切なのは、患者さんが治療に何を求めているのか、またその思いをどれだけ我々が汲み取れるのかを理解したうえで、患者さんにわかる言葉で伝えていくことでしょう。そもそも矯正歯科治療はその特質上、患者さんにある程度のガマンを強いることになりますから、その分よけいにコミュニケーションが大切になるのではないかと思います。

菅沼 広報活動は、そうしたコミュニケーションのきっかけづくりのようなものとも言えますね。ただ、医療家にとっては両刃の剣でもあります。矯正歯科治療について一般の患者さんの理解が深まるほど、当然ながら歯科医を見る目が肥えてきますし、「相談に行って迷ったらセカンドオピニオンを」ということを情報として伝えれば、患者さんとしても二軒目、三軒目の診療所に行こうとする。そういう流れの中で、選ばれる専門医であるためには、技術はもちろんのこと、コミュニケーション力も重要だということになりますね。

池森 今、大学の医学部や歯学部の教育の中でコミュニケーションに関する実習が標準化されつつあります。要は今後、そういう意識をもった学生が輩出されるということです。我々の時代には、そういう技術は大学教育では習いませんでしたから、単純に考えると、今後10年、20年で、患者さんに対するコミュニケーション能力の差はさらに開くのではないかと思います。

平木 そうですね。矯正歯科専門医として、治療技術が高水準であることは、言ってみれば当たり前。極端な話かもしれませんが、いくら価格が安くても技術的に未熟なところでは患者さんの満足はあり得ませんから。そして、そのクオリティを維持するための労働集約的な産業である以上は、必要な経費はかからざるを得ない。大切なのは、そのことを患者さんがきちんと納得してくださるかどうか。そこにも我々と患者さんの間でのコミュニケーションが介在する気がしますね。

池森 そもそもコスト競争が発生するのは、コストに見合う付加価値を患者さんが認めないから起こるわけです。反対に、付加価値を認めればコスト競争は起こらない。そのためのキーポイントは、やっぱりコミュニケーションにあるのではないかと思います。

平木 そうしたことを含めて考えると、今、まさに矯正歯科医療のパラダイムが変わってきていると言えるでしょう。すそ野が広がって、矯正歯科が技術だけで選択された時代はすでになくなりつつあります。

池森 ええ。たとえば学校のテストで60点が合格点とすると、矯正歯科治療の専門医である以上、治療の技術面では合格点で当たり前。つまり、技術の差というのは大きくないわけです。その分、トータルで患者さんが受けるサービス内容に差が出やすい。要は、技術編重型ではなくなってしまうということですね。

菅沼 よく、診療所にいると時代の変化やニーズを実感するのが難しいのではと言われることもありますが、今後はそういう客観的な目を我々自身が養っていくことが大切でしょうね。

池森 そのためにも診療所の中にこもらずに、いろんな場所に行って、いろんなサービスに触れてみる。行動半径が広ければ広いほど、先ほど平木先生がおっしゃったような理解力やコミュニケーション力が身につくのではないでしょうか。
話がずいぶん脇にそれましたが、市民公開講座や啓発ムックといった会の広報活動を通じて、患者さんとのよりよいコミュニケーションのあり方について、会員それぞれが考えることができればと思います。
(おわり)

■パンフレット
会員に配られる矯正歯科治療についてのパンフレット。診療所内に置き、患者さんが気軽に持ち帰れるよう、A4三つ折りサイズとなっている。


平成16年度事業計画(案)

1.ホームページの改訂
今後ますます重要度が増すと考えられるホームページに関して、多面的な展開を図る。内容としては、従来から継続してきたホームページの充実を継承するとともに、ムックのようなテイストを持ったホームページの展開を検討する。

2.マスメディアに対するパブリシティ活動の展開
今年度に引き続き、新聞・雑誌・TV番組等へのパブリシティ活動を展開する。

3.広報キャラバン
今年度に引き続き、全国各地で本会主催の市民公開講座を開催する。マスコミの取材誘致を図ってパブリシティの一環とするとともに、支部との共同作業を通じて支部活動活発化にも寄与する。

4.支部単位の広報活動の支援
今年度に引き続き、支部主催の広報活動への支援を行う。方法としては、活動のノウハウ提供、講座の開催通知や取材誘致をパブリシティ活動で支援、パンフレット、ポスターやムックの提供などを考えている。

5.啓発ムックの制作
今年度に引き続き、新たなムックの制作を行う。

6.広報効果の判定
今年度に引き続き、マスメディアの広報効果の評価を研究対象としている大学の研究室等に依嘱し、客観的な評価を得るとともに、医療以外の分野の学会で発表されることで広報活動のさらなる拡がりを求める。

7.パンフレット、ロゴグッズ等の管理
今年度までに制作したパンフレットやロゴグッズの保管・配布・補充を図り、継続して広報に活用いただく。

8.ニューズレターの発行
今年度に継続してニューズレターの発行を行ない、会内での情報伝達の緊密化に努める