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| 2004 |

2004年2月 「矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE (JOP)〕2004年2月号に院長が登場する座談会が掲載されました」


矯正臨床ジャーナル〔JOURNAL OF ORTHODONTIC PRACTICE(JOP)〕2004年2月号に1月号に引き続いて、「日本臨床矯正歯科医会の取り組み シリーズ2 さらに多角的な広報活動のために  ー2年目の取り組み」と題して、池森由幸先生(日本臨床矯正歯科医会・専務理事/いけもり矯正歯科 名古屋市)と平木建史先生(日本臨床矯正歯科医 会・広報担当理事/ひらき矯正歯科 大阪市)と、私の座談会が掲載されました。私が2002年度から日本臨床矯正歯科医会の広報委員会の委員になり、 2003年度からは広報委員会委員長として広報活動を行っています。掲載された対談の内容は、日本臨床矯正歯科医会が広報活動を始めた経緯から活動開始 に至るまでと、初年度の広報活動にについて、私が司会進行として、お二人にインタビューする形式で掲載されています。

ご興味のある方は是非ご一読ください。

【日本臨床矯正歯科医会の取り組み●シリーズ2】
さらに多角的な広報活動のために―2年目の取り組み

出席者 池森由幸(日本臨床矯正歯科医会・専務理事/いけもり矯正歯科 名古屋市)
平木健史(日本臨床矯正歯科医会・広報担当理事/平木矯正歯科 大阪市)
司会進行:菅沼與明 (日本臨床矯正歯科医会・広報委員会委員長/菅沼矯正歯科 豊橋市)


広報活動を本格的に開始した2003年、日本臨床矯正歯科医会はムックの第2弾を発行するとともに「歯並びの日」(8月8日)を制定し、一般市民を対象に矯正歯科治療に関する「市民公開講座」を千葉(千葉市)、東海(名古屋市)北関東(さいたま市)の3支部の各都市で開催するなど、初年度よりも多面的にイメージ・認知度アップに取り組んだ。そしてこのような積極的な活動は、大手PR会社との年間契約によって、これまで以上にマスメディアに浸透することになった。シリーズ第2回では、2003年度の同会の取り組みを通して、どのような成果と変化がもたらされたかを紹介する。

出席者
左から
今年度より広報委員長に就任した菅沼興明先生
同じく'01-'02年度広報担当理事の平木健史先生(現・広報担当理事)
'01-'02年度の広報委員会委員長を務めた池森由幸先生(現・専務理事)



【Section1】
大学との連携で一般の意見を吸い上げて

菅沼 2002年に当会が監修という立場で一冊目の啓発ムック『目指せ!きれいな歯並び 大人の矯正歯科Book』(以下、『大人の矯正歯科Book』)を出版しました。私も広報委員として賛歌させていただきましたが、当時、広報担当理事でいらした平木先生に、制作の際の配慮点についてうかがいたのですが。

池森 まず、日本臨床矯正歯科医会というグループが広報事業として制作するものですから、販売促進を煽るような内容はなんとしても避けたいということがありました。矯正歯科に関する自費出版書籍の中には、出版する側の意見や考え方を強くアピールし、利益誘導的な面が透けて見えているものが見受けられます。しかし、我々のような団体で出版する以上、直接的な利用誘導の面は押さえて、一般の方々に「好感」を持って矯正歯科に関する情報を受け入れてもらう必要があります。我々が行いたいことは、あくまでも矯正歯科医療に興味を持っていただける方々、特に良質で公平な情報を提供してその意味を理解していただける方を増やすことにあります。そのため、文中に会員の先生や診療所の固有名詞が極力でないよう配慮しました。ですから巻末の監修や編集後記等のクレジットを入れるところでさえ、我々担当者の固名詞を出していません。これは文章の責任を回避しているという意味ではなく、あくまでも団体で行っているという姿勢を会員にも納得していただくため配慮した一例です。
とはいえ、誌面には矯正歯科専門医の言葉で治療を語るページも必要だろうということで一人の会員の先生御登場いただいたのですが、その際も診療所の所在地などは載せず、臨床医としての考えを述べていただくにとどめました。また、ご登場いただくにあたって、文中に実名と素顔で登場していただく意味とそれが引き起こす反応予測も事前にご説明して、我々委員会で伏してお願いした経緯があります。このような企画に実名で登場されたいと思われる方もみえるでしょうが、逆にいろいろと憶測されご迷惑がかかる場合も予測されましたので、この企画にご協力いただいたことに感謝しきれない思いです。
それと、誌面にどうしても盛り込みたかったのが、実際の患者さんの声です。それもただ「矯正歯科治療をしてよかった」ということだけではなくて、治療中の苦労やデメリットについても患者さん自身の口からはなしてもらえるような構成にしたいと考えていました。

平木 と同時に、こうしたムックを広報委員会の独断でつくっているのではなくて、あくまでも会の広報活動の一環であることを会員のみなさんご理解いただけるよう、総会や例会、ニューズレターなどで現状の動きを説明するように務めましたね。それと矯正歯科学会などでも、学会発表として紹介するということを平行して行いました。対外的に会の活動を告知していくのも重要なことですから。

菅沼 私も同感です。新潟の日本矯正歯科学会に転じ発表を3演題行いましたが、展示した『大人の矯正歯科Book』が200冊すべてなくなってしまいましたから、かなり反響はあったのではないかと思います。このように対外的な場で当会の活動を定期的にアピールしていくことは、重要だと思いますね。

池森 ムックが出版された後、早稲田大学の嶋村先生の研究室と連携して我々のつくったムックや啓発意見広告を一般の方がどのように評価しているかをアンケート調査してもらったことも、受け手の意識を知るうえでいい勉強になりましたね。

菅沼 これらのアンケート調査に基づいて昨年、名古屋での日本臨床矯正歯科学会でもムックに関するアンケート調査に基づいた展示発表をしましたが、これらの結果を考察する過程で、今後の広報活動にとても参考になったと思っています。

平木 菅沼先生、ここでその内容をご紹介されてはどうでしょう。

2002年度に出版した啓発ムック『目指せ!きれいな歯並び 大人の矯正歯科Book』(写真左)に続き、2003年9月には、18歳以下の世代を対象にした『親子でLesson!ジュニアの矯正歯科Book』(写真右)を世界文化社より出版。前書同様、日本臨床矯正歯科医会は監修の立場で参加し、誌面は患者の視点で構成されている。

菅沼 そうですね。9月に行われた日本臨床矯正歯科医会の大会で「日本臨床矯正歯科医会が関わった出版書籍に関する消費者アンケート調査についての評価」というタイトルで、『大人の矯正歯科Book』と、ほぼ同時期に本会神奈川市部が保健同人社とり発行した『矯正歯科-歯並びとかみ合わせの最新治療-専門のお医者さんが語るQ&A矯正歯科』の2冊についてアンケート調査を行い、その結果を先きほど池森先生がおっしゃったように、早稲田大学の嶋村先生の研究室で分析していただき、発表しました。
また10月の日本矯正歯科学会では『大人の矯正歯科Book」に対するアンケート結果(対象:一般読者モニターと治療中および治療終了後の患者さんとその保護者の方等)を集計したものを発表しました。いずれの調査でも、両誌のイメージは全体的に高く評価されました。
こうした調査を通じて、ムックと書籍という性格の異なる出版形態にすることで年代や消費者層に応じて多角的に情報発信していく必要があることがわかりましたし、一般読者は言うには及ばず、治療中や治療終了後の患者さんとその保護者の方でも矯正歯科治療にかんする情報を必要としておられること、また、冊子の作り方としてはソフトなテイストのほうが効果が高いことがわかりました。それと、治療経験者の方の興味が「知っておきたい基礎知識」に集中したことから、まだまだ矯正歯科に関する情報提供が不足していると考えさせられましたね。それゆえに、こうしたムックを院内での患者さんの説明用のツールとして使用することはインターナルマーケティングにも有効ではないかと感じました。

池森 これからのアンケートを研究・発表する過程で得られたことが、第2弾のムック制作に役立ちましたね。



【Secion2】
「餅は餅屋」の発送で、PR会社に業務依托
菅沼 さて、話しは変わりますが、2003年度からはプラップ・ジャパンというPR会社を利用した本格的な広報活動が始まりました。ただ、それに向けては、前回も触れましたように、広報活動の意義や、「広告」と「広報」の違いを会員に理解してもらうことが前提となりますね。

平木 その通りです。ただ、我々の最初の広報活動が啓発意見広告だったために、「広告」と「広報」の違いが会員の方々には理解しづらかったと思うんです。なので、PR会社という組織の役割を理解してもらうのに、やはり時間がかかりました(笑)。

池森 なぜPR会社を起用しようとしたかをお話ますと、ムックをつくり、大学との連携研究も行って、というところまできて、その次の動きとしては、もう少し一般企業並みの広報活動に目を向けていくべきだろうと考えたわけです。そのためには、やはりPRを専門的に行っている企業のノウハウが必要になるだろうと。ただ、PR会社との契約を事業予算に組み込むには、菅沼先生が先ほどおっしゃったように、「広報」と「広告」は何がどう違うかという認知を会員の皆さんにしていただく必要があります。何と言っても、契約することで費用が発生しますから。

平木 我々の会にとって、PR会社に月額100万円なりの費用を払うのはかなり大きな出費ですからね。しかもPR会社は広告代理店のように具体的な広告物をつくりだしてくれるわけじゃありません。「パブリシティ」といわれるニュースリリースなどをメディアに向けて発信して、当会の活動を周知させてくれる立場ですから。そこで、広告代理店ではないという認識を徹底しもらうことが必要になったわけです。

池森 もちろん、決められた予算があって、その中でやらなければいけないことなので、新しいことをするためには、何かの費用を削らなければなりません。そこで、2003年度は啓発意見広告の制作費を削除することにしたました。その代わりPR会社に広報委託をしたんですが、そうすることにどれだけの価値があるかを会員にご理解いただくために、マスメディアへの露出度合を広告費に換算する事で費用対効果の目安にしたんです。

菅沼 と申しますと?

池森 PR会社が間に立って活動することで新聞や雑誌などに当会の活動に関する記事がどれだけ誘致できたか。そして、それは我々が独自に啓発意見広告などをつくって媒体に掲載するのと比べると、どれだけ経費の節減につながったのか、ということを数字で示したわけです。

平木 そもそも、『大人の矯正歯科Book』のときも、最初は皆さん、どんなものができるのか想像もつかないわけで、なかば半信半疑で見てらっしゃったと思うんです。でもでも実際出来上がったムックを手にすると、「これだったら」という賛同がグッとあがったというのがあるわけですね。PR会社の参画についても同様で、新聞やテレビにパブリシティで記事が誘致できたのを見て、はじめて効果を実感いただけたというのがあります。

池森 評論家の中には、PR会社に大枚な費用を払うことに対して、反面好ましくなく、反面当然という、相反する評価をされる方がいらっしゃるんです。なぜ好ましくないかと言いますと、業者を使わなくても自分たちで広報のニューズレターを出せば費用を抑えられるではにか、という発想なんですね。でもそれはその方が業界を知っていらっしゃるから言えることであって、我々のような専門外だとどうしても専門家に頼らざるを得ないわけです。

菅沼 確かに、それはありますね。とすると、大事なのはやはり、必要コストをどうやって会員に納得してもらうか、ですね。

池森 そうですね。コスト面でいうと、やはり中小よりも大手PR会社のほうが高額です。ですから、「最初から大手と契約するのではなくて、もっと小さなところでやれば」という案も出ていたんです。それで、いろんなPR会社の方に会って、費用の面や広報活動にどのような方法論を用いるかなどの話しをうかがいました。その結果、やはり大手のほうが業界との連携が強く、いろんなノウハウを御存じだし、それに我々と類似する他業種の広報をすでに手がけてみえるので、それは強いなと。
一歩、小規模なところは院内に置くパブリックツール等や、製薬会社や医療関係のプロパと病因とが連携して患者さんに渡すようなツールの制作を担当されていたりはするんですが、やはり範囲が狭いんですね。我々としては、先ほど菅沼先生がおっしゃったように幅広い世代に向けて告知していきたいので、そういう広報活動は大手ではないと難しいなと判断したわけです。

菅沼 前回のお話で、啓発意見広告の出稿媒体を決めるときに「世代の異なる層にアプローチするために掲載する雑誌をいくつかわけた」というお話がありましたが、そのときの判断とにていますね。

池森 そうですね。ただ、雑誌に広告を出すときよりも、このときのほうが緊張しました(笑)。なんといっても年間契約ですから。会員の皆さんのご理解が本当にいただけるのかというのが心配でしたね。

平木 そもそも日本はノウハウにお金を払うということにたいして厳しい見方になるのかなという気もしました。

菅沼 とはいえ、最終的には2002年度中にPR会社とスポットでの契約を結ぶことができ、それが2003年度のフル契約を結びついていったというわけですね。

平木 そうなんです。我々がPR会社の存在を知ったときには、2002年度の事業計画がすでに決まっていましたから、なかなか難しかったんですが。そこで最初はフル契約ではなく、事業企画費の枠内で我々の事業計画を有効に推進するためにPR会社からいろんなアドバイスをいただくことにしたんです。そうする中で、PR会社のほうも我々の組織や活動についてより深く理解されるようになったのと、我々もPR会社の実力を肌で知るようになってきました。そうしたそうご理解を通して、やはり本格的にお願いするのが一番得策であろうということで、2003年度は年間でお願いすることになったわけです。


【Section3】
バッシング記事への対応策もレクチャー

2002・2003年度
特別広報活動費の比較
2002年度 特別広報活動事業費

広告掲載費 30,000,000
啓発MOOK出版費 10,000,000
パンフレット等印刷費 5,000,000
企画費 5,000,000
   
50,000,000
2003年度 特別広報活動事業費

広告掲載費 4,000,000
広報キャラバン費 10,000,000
啓発MOOK出版費 10,000,000
WEB改訂費 6,000,000
パンフレット等印刷費 5,000,000
企画費 15,000,000
   
50,000,000
菅沼 PR会社による実際の活動は2003年の春からですね。この頃には、すでに当会の啓発意見広告が出て、ムックが出版されて、という流れがありました。契約に向けて、会員のコンセンサスを得るために、どのような取り組みをされたんですか?

平木 まず、我々としても会員の方々の意向を吸い上げたかったので、次年度の予算を審議する春の総会の前に会員にアンケートをとり、いろんなご意見を頂戴しました。その中で、初年度の広報活動の実感として、「患者さんがムックを見て来院された」という報告もちらほらあったんです。もちろん、「うちは来とらんぞ」というのもありましたが(笑)、実例がちらほらあがってきたことで、広報活動がそれなりの効果を生んでるという会員の皆さんの実感につながったと思います。このことも、コンセンサスを得やすくしたと思いますね。

菅沼 初年度の取り組みのひとつでもあった啓発意見広告に対しては、どのような反応があったんでしょうか。

池森 たまたま昨年度出稿した当会の広告が「第43回・消費者のためになった広告コンクールで賞をいただいたので、広報活動の手法のひとつとして広告が有効であるということは理解いただけたのではないかと思います。
ただ、限られた予算の中で広報活動を行う場合は、先程申したように、新しいことをする分、削減する部分も必要です。そこで本年度は、広告出稿を見送ったわけですが、この賞をいただいたことで、我々のしたことはムダではなかったと実感できました。
このとき同時に受賞したその他の企業は、「資生堂」「GM」「エルメス」といった、そうそうたる一流企業ですから(笑)。分野は違うものの、その中に我々自身が受賞に驚いたのはご理解いただけると思います。

菅沼 話は飛びますが、PR会社と契約してから具体的のどのような変化があったんでしょうか。

池森 PR会社の業務は、ただ我々の活動を一般に周知させるだけでなくて、大衆との良好な関係を結ぶための色々な処置を施す役割もあります。そういう意味で、我々がその役割を実感できたのが、週刊誌に掲載された矯正歯科医へのバッシング記事に対して、日本臨床矯正歯科医会としてどう対応したらいいのかレクチャーでした。今まではバッシングがあっても、我々はどうやってそれに反応したらいいかがわからなかったというか、下手だったんです。それをPR会社に指導してもらいながら、いろいろな手法論を学習できたわけです。実際、そのうえで雑誌社と折衝をしたら、比較的折衝がスムーズに進みました。こうしたことも、PR会社の役割を会員に認識してもらううえで有効だったと思いますね。



【Section4】
聴衆の動員に差がついた「市民公開講座」

菅沼 こうしたことと平行しながら、2003年は世界文化社から第2弾の啓発ムック(『親子でLesson!ジュニアの矯正歯科Book』)の制作が進んでいたわけですね。それと、一般の方々との対話を通じてリレーションシップを深めるために「市民公開講座」もスタートしたり、新たな取り組みも生まれました。

平木 市民公開講座はこれまでも数回、大会のプログラムの一環として開催してきたんですが、いずれも単発であったのと、聴衆をどうやって集めるかという方法論のところにネックがありました、とくに聴衆を集めることは我々素人にとっては難しかったんです。その点、今年度はPR会社の力が発揮されたと思いますね。

菅沼 具体的に言いますと?

平木 まず、PR会社が間に入ったことで、マスコミ各社に公開講座開催の情報が流れました。今までですと、テレビでの告知というと広告という手段になりますから金額的にも手法的にも手の届かないものだったんですが、パブリシティの場合ですと、その情報を取り上げるかどうかはマスメディアの自由ですから、メディアを通して情報が発信されたとしても、それ自体に費用は発生しません。ですので、テレビや新聞が我々の活動を取り上げてくれるのをみて、マスメディアがいよいよ自分たちの手の届くところになってきたというのが実感できましたね。


当日の参加者には子どもの姿も(千葉大会)

筒井照子先生による講演
(名古屋大会)

患者さんによるトークショー
(千葉大会)

熱心に聞き入る参加者(名古屋大会)

矯正歯科治療に関する正しい知識の普及・啓発を目的に、2003年8月に千葉と名古屋で、11月にさいたまで開催された「市民公開講座」。
PR会社によるメディアへの開催通知活動が功を奏し、会場はいずれもほぼ満席となり、質疑応答でも参加者からの熱心な質問が相次いだ。

会員による個別相談も盛況
(千葉大会)

千葉・名古屋での経験を踏まえ、
初めて託児所を設置(さいたま大会)

池森 その結果、会場いっぱいに聴衆が集まってくださったのには、やはり驚きましたよ。そこでこちらが学ぶこともたくさん出てきました。例えば、聴衆が増えると来場者の中に子どもを連れてみえる方も増えてくる。それ自体は結構なのですが、そうなることで泣き声や話し声と言った騒音の問題もでてきます。そこで託児所が必要であることなど、以前とは違う次のステップにあがっていけたと思います。

菅沼 そこで得た反省を踏まえて、ということですね。

池森 そうです。今申し上げた託児所に関して言えば、後なってみれば当然必要なものなのだ、ということはわかるのですが、当時は問題が起れば、それを糧に修正してバージョンアップしていけばいいのであって、しかも「託児所施設がありますよ!」というスタンスを積極的に加えることによって、より一層、一般のお母様方に好感を持って向かえられるようになるわけですから、あまり失敗を恐れてはいけないのだな、と実感しました。
それと、これまで活動があまり盛んでなかった支部が、市民公開講座を開いたことによって自分たちで集まってなにかをするという機運が生まれたのがよかったという意見も、会員の中から挙がっています。

平木 本会の支部は全国に13ありますが、ひとつの都道府県が単位の支部もあれば東北支部や九州支部のようにひとつの地方が単位の支部もあります。支部が広域になると、どうしても会員全員が集まる機会がなかなかもてないということがあるんですね。その中でも、千葉とか東海というのは、我々支部の中では活動が活発に行われているところですが、2003年11月に市民公開講座がおこなわれた北関東支部は、広域なために会員の先生方が頻繁に顔を合わせることが少なかった支部なんです。でも、これを機に、活発に活動していこうという意識が盛り上がっている。これは我々にとっても非常にうれしいことです。

池森 市民公開講座の第1ポイントは、市民に直接語りかけて矯正歯科医療を根付かせることです。
これは、当日に会場にお越しになられた方々だけをターゲットにしているわけではありません。事前の告知手法によって、例えばリーフレットを各方面のご協力のもとに配付すれば、それだけ多くのかたにこの企画が留まるわけですし、ニュースリリースを通じて採用して下さった新聞やテレビ、ラジオの番組での紹介番組を通じて、当日参加されない方々にも情報がつたわるところに意味があるわけです。
そして第2のポイントは、その支部の先生たちが積極的に参画することです。そうすることで、最初は方法論がわからなかった先生方も専門家の指導のもとに始めるうちに、当日の進行マニュアルや台本が手元に残ります。それをベースにして「これなら自分たちでもできるだろう」という自信につながったら、支部ごとの活動は今後も根付いていくでしょう。会場にいらした方が患者さんになるのは、意識としてはおまけだと思っているんです。


菅沼 具体的には、開催した支部にどのような変化があったと思われますか。

平木 何か事業をするときには、受益者負担的な発想がどうしても出てくるものなのです。たとえば市民間公開講座をその支部内の主要都市でやるとなると、それ以外の地区の先生からすると「自分の地区じゃない以上、意味がない」という発想になりがちです。でも、そこが変わってきたように思いますね。とりあえず聴衆動員のために主要都市で開催する。その情報がマスメディアを通して広まって、その地域の一般の方に広く認知されるようになる。そうしたら、開催都市以外の会員の方にも関わりが出てくる。今度は別の地区で開催を企画してみる。そのための第一歩になっていくことが大切だと思います。



【Section5】
患者の立場からの情報提供を大切に

菅沼 そうですね。私自信、今、広報委員長をさせていただいて思うのは、広報活動というのは、継続的に、ある一定のボリュームをもって続けていかないと、今だけやっていてもいみがないということです。それは、いままで続けてきたものと同じカタチを今後も踏襲するということではなくて、時代ごとに方法も変わっていかねばならないでしょうし、求められるニーズもおのずと違ってくるはずです。
そのためにもプロの手を借りて、矯正歯科治療を広く根付かせ、浸透させることが必要だと。こうした長く続けられる事業にしていくために、今後はどのような広報活動が求められると思われますか。

池森 これまでの活動を通じて今思うのは、当たり前の事ですが、一般の方との接点を求めれば求めるほど、一般の方からの反応や質問が出て来るということです。そのことに対して、我々としてはコンセンサスやスタンダードを検討しなければ、という段階にそろそろきているのではと感じています。

平木 そうですね。その中で私が思いますのは、従来は患者さんのさまざまな質問に答える場合、我々はどうしても医療供給サイドから見た回答しか思い浮かばなかったんです。それが『大人の矯正歯科Book』をつくる過程で思ったのは、一般の方に答えるスタンスとして、医療供給サイドからだけではなくて、患者さんの立場から回答するというのが、本当に生きた情報源になるのでは、ということでした。やはり、患者さんも医療供給サイドには言いにくいことでも、患者さん同志でなら気楽にいえるでしょうし、そのような場づくりが必要だろうという気がしたんです。
そういう観点で、当会のホームページを見ていきますと、我々がつくってきたものは医療供給サイドからの情報提供に重きが置かれていますから、視点を変えて患者さんの立場からの情報提供、あるいは患者さんの立場の方とのコミュニケーションを熟成していくことが、大きな意味で矯正歯科医療のファンを増やしていくことにつながるのではないかと。
我々の行なう広報活動の勘所は、世の中のいろんな立場の人の中に矯正歯科のファンを増やしていくことだと思うんです。ですから、今後の展開としては、ムックをホームページにおきかえたような親しみやすい情報提供の方法、そういうものを考えていきたいと思っています。(続く)

参考

今年度の事業は、年度初めに作成されたこの事業計画書に基づいて展開された。
※なお、この中には実行を次年度に移した計画も含まれている。

〔2003年度 広報委員会事業計画〕
1.ホームページの改訂
2.マスメディアに対するパブリシティ活動の展開
3.「歯並びの日」制定
4.全国展開の市民公開講座開催(広報キャラバン)
5.支部単位の広報活動支援
6.啓発MOOKの制作
7.雑誌への啓発広告掲載
8.広報活動に関するブレーン構築
9.広報効果の判定
10.パンフレット、ロゴグッズ等の管理
11.ニューズレターの発行
昨年度に引き続き改訂拡充を図った日本臨床矯正歯科医会のホームページ。改定内容としては、地図を用いた会員診療所検索ページの新設や、Q&Aおよび矯正治療解説のページの充実、当会から社会へのメッセージ発信機能の充実など。






 

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