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| 2003 |
2003年9月15日・16日 第31回日本臨床矯正歯科医会大会に参加して

歯科衛生士:近藤千香 川合香奈 岩瀬さよ子 加藤文美
受付:尾崎みゆき 小林裕実
歯科技工士:川口照子
受付:尾崎みゆき 小林裕実
歯科技工士:川口照子
平成15年9月15日、16日に名古屋の国際会議場・白鳥ホールで行われた、第31回 日本臨床矯正歯科医会大会に参加してきました。社会や患者さんに対してより質の良い矯正歯科治療を大変重要なこととして、「患者さんの視点に立った矯正歯科治療をめざして」をテーマに多くの講演がありました。
シンポジウム
「社会学的に見た矯正歯科の捉え方」
名古屋弁護士会 増田聖子先生
日本社会全体が大きく変化しており、医療においても同じ様に変化が起きていることをお話しされていました。その由来としては、外的要因としてグローバル化、内的要因として、階層間格差の増大であったり、個人化の進展があるといえるそうです。そのうえで、黒田先生は矯正歯科のあるべき方向性を次のように述べていました。
・現状の認識 ・ターゲットをしぼることの重要性
・矯正歯科医としての技術の向上 ・顧客理解
・サービス業であることの自覚 ・専門医としての新しい権威
・矯正歯科医としての技術の向上 ・顧客理解
・サービス業であることの自覚 ・専門医としての新しい権威
☆矯正歯科のあるべき方向性としてあげられた6つの項目は、今までいろいろな講演・講義を受けてきた中でもよく耳にした言葉です。今回改めてその重要性を感じました。
シンポジウム
「患者が望む矯正歯科治療とは-弁護士の視点から」
名古屋弁護士会 増田聖子先生
増田先生の講演は、「診療契約書の締結」の重要性をお話になり、それに加えもう一つ、カルテ、あるいは診療経過を記載した手帳(カレンダーに治療計画や治療日ごとの治療の内容と口腔内の状況、毎日のブラッシングの状態などを記載できるもの)など患者と共用することをすすめていました。治療経過や受診日のブラッシングの状況などを歯科医師と患者がともに記載し、一緒に確認しながら治療をすすめていけば、患者さんの意識も高まり、治療の効果も上がるのではないかとのことでした。
シンポジウム
「患者の立場でみた、よい矯正歯科医とは?」
~3名の主治医がいた、私の矯正歯科治療~
編集者〔目指せ!きれいな歯並び・大人の矯正歯科BOOK〕 冨部志保子先生
冨部さんは矯正治療を行い、現在保定観察中とのことで、きれいな歯並びを手に入れたことには幸せを感じるけれど、治療の途中で感じた疑問や憤りは、患者のあり方、矯正歯科医のあり方について、様々なことを考えさせるとのことでした。治療中二度も主治医が代わり、申し送りも不完全で治療の経緯が不透明で納得できなっかたこと。また主治医の変更に伴い、診療所の都合で転医させられ、新しい診療所との間でトラブルも発生したことにより、歯科医への不信感が高まり、患者としてのモチベーションも低下してしまったとのことでした。 患者満足のための取り組み1
主治医の交代
・患者への早い段階での告知
・次の診療所の紹介、十分な引き継ぎを
・次の主治医と患者との十分な話し合い
→患者のメンタル面の配慮、カウンセリング的な対応
→”聞き上手”のすすめ
患者満足のための取り組み2
治療プロセスの不透明さ
・治療プログラムの共有→治療全体の流れ、現段階の把握→母子手帳のような「治療の記録帳」
不安や疑問点を書き込むスペース→先生が回答
日常の歯の手入れ法、注意点、治療のデメリットへの対処法、治療後のケア
患者満足のための取り組み3
モチベーションの低下
・患者の向けた情報誌orメルマガの定期発行
治療中の患者のインタビュー・先生インタビュー → 矯正歯科治療に対する患者の自覚、認識アップ
矯正歯科の最新情報などを掲載
矯正歯科医に望むこと
1)患者を不安にさせない→患者の疑問、不安に明快に回答
2)治療の限界への言及(患者は過度の期待をしている)→ゴールを明確にすることで現実的に治療できる
3)治療に伴うリスクを伝える
→患者の自覚を促し、治療に対して協力的な関係をつくる(治療後も来院しやすい環境をつくる)
コデンタル・ワークショップ
テーマ:模擬患者さんを介したスキルアップを目指して
「デンタルスタッフと→患者の医療コミュニケーションのトレーニングとして、模擬患者参加型の臨床医学教育(模擬診察)の実習」
岐阜大学医学部医学教育開発研究センター 藤崎和彦先生
少しお話があった後、すぐに参加者同士で一対一のペアを作り、衛生士役と患者役にわかれて、それぞれのシナリオにそってコミュニケーション場面をシミュレーションするロールプレイを行いました。その後、お互いに自分の役を振り返り、気づいたことや感じたこと、相手の対応にどう感じたかなどを話し合いました。実際に自分の言葉や態度を振り返ってみると、新しく気づく点などがあり、とても新鮮でした。また逆に相手から指摘されることで、自分でも気付かなかった問題点などにも気付くことがあり、改めて考えさせられました。 コミュニケーション・スキルの基本

傾聴・情報収集・・
・患者が口に出せなくても聞いてほしいところまで踏み込む
・直接的応答で蓋をしてチャンスをつぶさない。
(「何が気になるの?」とか「どうしたの?」などの言い方が良い。)
共感(共感できたことを相手に伝える)
・言葉と態度で確実に示す:オウム返し<
・「がんばって」ではなく「一緒にがんばりましょう」
感情への対応
・感情を受けとめること(受容)。感情面のケアは避けて通れない。
その後は、実際に一般の模擬患者の方と、参加者の代表が(衛生士役として)シミュレーションを行い、問題点・良かった点などを指摘し合いました。
学術展示

学術展示では、インプラントやMFTについてなどたくさんの症例がありました。最近、当院でも、インプラントによる矯正治療の患者さんが増えてきています。今後そういう患者さんのためにも、ブラッシングやその他いろいろな知識を身につけてご説明できるようにしたいと思います。MFTについては、治療をせずに長期的に筋機能訓練のみで歯並びがある程度まで改善できることに感激しました。MFTの練習は、根気が必要ですので、なかなか続かない子もいます。もっと重要性を知ってもらい、長期間続けても嫌にならないよう工夫して指導していきたいと思います。
感想
今回の大会では、朝早くから展示の準備などを行い、他の矯正歯科の先生方とも接する機会が多くありました。シンポジウムでは常には聞くことができない患者さんの視点に立ったお話で、特に冨部さんの講演では実際に治療をした患者さんであるので、とても心に響くお話でした。冨部さんが矯正歯科で受けてきた疑問・不安を語ってくれたことは、今後の参考になると思います。患者さんを不安にさせないないことは診療において最も重要なことだと思っています。説明は確実に行い、疑問・質問には明快にお答えできるように今後も努力していきたいと改めて感じました。また、「治療の記録帳」というのは、とてもいいアイデアだと思います。患者さんのなかには、質問をしたいけれどもどう言葉にしたらいいのかわからない方や、恥ずかしくて質問がなかなかできないという方もいらっしゃると思います。確かに、こういった記録帳があれば、今までよりは患者さんも質問がしやすくなるのではないかと感じました。藤崎先生のコデンタル・ワークショップでは、実際にロールプレイを行ってみて、患者さんの気持ちがわかりました。今までは自分のもっている知識を伝えて満足していたけれど、患者さん的には不満だったかも知れないということが分かり反省させられました。もっと患者さんのことを知り、いろいろ会話をしながら不安を取り除いてあげられるよう努力していきたいと思います。特に印象に残ったのは、患者さんへ質問する際はオープンエンドクエスチョン(解放型質問)であること。「はい」か「いいえ」でしか答えられない質問(閉鎖型質問)ではそこで会話が終わってしまうので、「どうですか?」とか広く答えが考えられる質問を投げかけて、そこから患者さんの言いたいことを上手に引き出すことが大切であるとのことでした。また、まず最初に挨拶・自己紹介・患者確認を行うことが、第一印象として重要であるということを改めて感じました。患者さんへの質問の仕方など今後の診療において気を付けていきたいと思います。















