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| 2009 |

2009年6月17日 愛知県名古屋市中区栄のダイテックサカエで開催された中日本矯正歯科医会の第129回例会に参加してきました
2009年6月17日(水)に愛知県名古屋市中区栄のダイテックサカエで開催された中日本矯正歯科医会の第129回例会に参加してきました。
近畿東海矯正歯科学会が6月14日(日)に愛知県名古屋市の名古屋国際会議場で開催されたばかりでしたので、いつもの例会より参加された会員が少なかったようです。30名ぐらいの参加者でした。
理事会報告では、6月14日(日)の近畿東海矯正歯科学会学術大会の報告とお礼のご挨拶が、山田専務理事と田中進平会長からありました。理事会では浅見会員から日本矯正歯科学会の専門医に関して、更新に対する質問やご意見が出されました。それに対して中日本矯正歯科医会会長であり日本矯正歯科学会常務理事をお務めの田中進平先生と関連の委員会を担当されている浅井保彦副会長から、現状の説明がなされました。

会員発表は三重県桑名市でご開業されている山本克己会員から「山本矯正歯科開設後30年余の矯正歯科患者の実態と下顎前突の数症例」と題した発表がされました。
山本先生の医院では叢生に続いて反対咬合の患者さんが多いとのことでした。この辺は昨年、日本臨床矯正歯科医会で調査したデータとは若干異なっていました。
日本臨床矯正歯科医会のデータでは多い順から叢生、上顎前突、反対咬合の順でした。私の医院の菅沼矯正歯科でも日本臨床矯正歯科医会と同様に叢生、上顎前突、反対咬合の順です。
たぶん長年、矯正臨床をされている山本先生の医院では、昔は反対咬合で受診される方が多かったのでしょう。
徐々に矯正歯科治療が一般の方にも浸透してきて、上顎前突で矯正歯科治療をされる方が増えてきたのでしょう。
その後は森川泰志会員、切通正智会員、湯浅真司会員の3名の会員の先生から症例発表がされました。
それぞれ参考になる症例、自分が行っている矯正歯科臨床を振り返り、参考にさせて頂けるような症例を見せて頂くことが出来ました。

下記に例会のスケジュールと抄録を掲載します。

例会スケジュール
13:00~13:30 受付
13:30~14:00 理事会報告
14:00~16:00 会員発表
16:00~16:15 休憩・症例閲覧
16:15~17:30 症例発表

会員発表
山本矯正歯科開設後30年余の矯正歯科患者の実態と下顎前突の数症例
山本克己 会員


 1977年(昭和52年)から2009年3月までの31年4ヵ月間に当院を受診した相談患者総数は、4802名でそのうち資料採得した患者数は2480名である。この間の総患者数中の資料採得した患者数の比率は51.7%であった。相談患者数は男性は1840名、女性は2962名で男女比は 1:1.6と女性が男性より多かった。
年齢分布は1歳から78歳におよぶが、実際には1~20歳が91.4%で、20歳以上は8.6%であった。最も多いのは男女とも7歳で、7歳>8歳
>9歳>10歳>11歳>12歳の順となり、小学生が上位を占めている。
次に相談患者の地域分布であるが、これによると桑名市は過半数の2433名(50.7%)、桑名市以外の三重県内各地が2037名(42.4%)で両
者を合わせると、三重県内が4470名(93.1%)とほとんどを占める。県外は198名(4.1%)に過ぎないが、愛知、岐阜の近郊からも少なからず
来院している。
次いで、紹介患者は何らかのかたちで来院することが多い。紹介者別に分類すると歯科医師が64.5%で最も多く、大学病院など公私立医療機関を含むと
68.8%と医療機関からの紹介が大半を占めている。
不正咬合の種類別患者比率でみると、叢生の占める割合が最も多く2523名(52.5%)で、次いで下顎前突の1235名(25.7%)、上顎前突の
613名(12.7%)の順であった。
実患者(治療患者)の実態については例会時にお話したい。
以上、実態と併せて下顎前突の数症例について発表いたし諸先生のご批判を仰ぎたいと思う。


症例発表
著しいoverjetを伴うAngle Class II過蓋咬合症例
森川泰志 会員


【症例の概要】
初診時年齢10歳4か月の男児で、上顎前歯の突出を主訴に来院した。顔貌所見では、オトガイ部の後退感と上唇部の突出が認められた。正貌所見はほぼ左
右対称であった。口腔内所見では、大臼歯の咬合関係は左右Angle Class IIであり、overjet 11mm、overbite 
7mmであった。上顎では舌突出による正中離開が認められた。パノラマX線所見では、異常所見は認められなかった。セファロ所見はfacial angle 85.5°、SNA 80.5° SNB74.0° ANB 6.5° Y-axis 60.5°と下顎骨の後方位を示し、U1 to FHは122.0°と唇側傾斜していた。
【診断】
著しいoverjetを伴うAngle Class II過蓋咬合症例
【治療方針】
下顎の前方誘導と発育促進することを目的にoverjetおよびAngle Class 
II関係の改善をはかる。その後、第二大臼歯の萌出後に、顔貌、overjet、overbite等の再検討を行い、抜歯の可否を決定して
multibracket法にて、咬合の緊密化を行う。
【治療経過】
Bionatorにて下顎の前方誘導と発育促進を行った。しかし、花粉症にて長時間の使用ができないため、咬合斜面板に変更した。13歳4か月時に再
検討を行い、大臼歯関係はAngle I級となり、SNA 80.5°はかわらず、SNB 74.0° →77.0° ANB 
6.5° →3.5° Y-axis 60.5° →62.0°、U1 to 
FHは122.0° →118.5°に変化した。その結果非抜歯にて排列することとしmultibracket装置を装着した。正中線改善のため右側にIII級ゴムを14か月使用した。15歳5か月時に動的治療を終了し保定に移行した。
【結果】
下顎の前方誘導と発育促進の結果、顔貌は改善され、大臼歯関係はAngle I級となり非抜歯による排列が可能となった。動的治療終了後2年が経過し、安定した咬合と、良好な顔貌が維持されている。


アングルII級2類 過蓋咬合症例
切通正智 会員


【症例の概要】
日本人には典型的なアングルII級2類は少なく、当医院でもかなり少ない。
本症例はアングルII級2類で、初診時が下顎成長のあまり期待できない時期だったため、上顎のみの片顎抜歯とした。
初診時年齢14歳4ヵ月の女性。上顎中切歯と上顎側切歯の間に段差がある、上顎中切歯が内側に傾斜しているのが気になることを主訴に来院した。
顔貌はStraight typeで良好である。口腔内所見は、上顎中切歯が舌側傾斜、overjet 2.0mm、overbite 5.5mm、大臼歯関係は左右ともアングル□級であった。
正面セファロ所見では特記事項なし、側方セファロ所見として、骨格系ではSNA 82.5°、SNB 76.5°、ANB 6.0°、FMA 21.0°、歯系ではU1 to SN 88.5°、L1 to A-Pog -1.0mmであった。機能系所見として、両側顎関節雑音を認める。
【診断】
アングルII級2類 過蓋咬合
【治療方針】
1.右側Full class □のため上顎加強固定装置として、上顎ナンスのホールディングアーチを使用する。
2.上顎のみ左右第一小臼歯抜歯でアングル□級仕上げ。
3.上顎マルチブラケット装置
4.下顎マルチブラケット装置(過蓋咬合改善後)
5.保定
6.智歯抜歯
【治療経過】
上顎ナンスのホールディングアーチ装着、上顎左右第一小臼歯抜歯後、過蓋咬合のため上顎のみマルチブラケット装置を装着した。10か月後、上顎ナンスのホールディングアーチを除去し、.016×.022 with closing loopのワイヤーにて上顎前歯を圧下しながら舌側移動を開始した。
マルチブラケットによる動的治療期間は2年2か月、保定期間は2年3か月で、上顎中切歯の歯軸および前歯被蓋は改善し、咬合は安定している。
【考察】
典型的なアングルII級2類の症例で、初診時、初潮より2年以上経過していたため、下顎の成長があま期待できないと判断した。骨格性□級、右側Full class□、過蓋咬合、下顎は叢生がないため、上顎のみの片顎抜歯、アングル□級仕上げとした。


骨格性2級成人症例
湯浅真司 会員
上顎骨大傾向、下顎骨小および後方位。上下第1小臼歯抜歯にて外科矯正(上顎上方移動、下顎前方移動)を行い、2005年夏上下DBS撤去。以降現在まで保定および経過観察を継続中。
COとCRに開きはあるものの、COにおいて今のところ安定している症例です。今後もできるだけ長期的に変化を観察して行きたい症例です。
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