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| 2008 |

2008年10月13~16日 静岡県掛川市のヤマハリゾートつま恋で開催された第36回 日本臨床矯正歯科医会大会に参加してきました
第36回 日本臨床矯正歯科医会大会に参加してきました
2008 年10月13日より16日まで、静岡県掛川市「ヤマハリゾートつま恋」において第36回日本臨床矯正歯科医会大会が開催されました。今回のテーマは「よく学び、よく遊べ in つま恋」と題し、会員矯正歯科医師208名、会員家族等18名、会員診療所スタッフ162名、賛助会員23名、その他招待者など41名、参加総数452名の盛大な大会となりました。

日本臨床矯正歯科医会では毎年秋に、13支部の持ち回りで学術大会を行っています。今回は静岡支部の担当です。私はお隣の愛知県で東海支部ですが、愛知県の一番東に位置する豊橋ですので静岡県は近い存在です。つま恋にはもう30年ぐらい前に両親と兄弟の家族で何度か遊びにいった懐かしい記憶があります。10年ぐらい前に一度、妻と長女と3人で行って以来の訪問になります。温泉施設が新しく出来た以外はあまり変わっていないように感じました。
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初日の13日は豊橋から自家用車で1時間ぐらいでつま恋に到着し、理事会とその後の前夜祭に参加しました。

14 日は朝から開会式の後、大会プログラムのトップバッターとして委員会プログラム社会医療委員会と医療管理委員会から委員会プログラムの講演が行われました。始めに、社会医療委員会副委員長の窪田正宏先生より「第1回JAOサーベイ報告」をご講演頂きました。この調査は、本年7月1日から8月31日にかけて、本会正会員に向けてWebサイトを利用し行なわれました。この調査の目的は、矯正歯科専従開業医に限定した標本から抽出された様々なデーターを積み重ねていくことで、日本の矯正歯科医療界の、今後の進むべき道(将来性、方向性)を見定めていくことが重要であるからだという事でした。

調査項目は

    ● 一般事項
    ● 診療所管理事項
    ● 経営事項
    ● 臨床事項

で、更に各項目が細かに報告されていました。このデーターは、中間報告とあって全て平均のみの報告であり、実際はかなりのバラつきがあると考えられる為、この平均データーが全てというものでは無いとご承知おき頂きたいとの事でした。今後さらにデータの集積が望まれます。

次に、医療管理・共済委員会副委員長の丸山文章先生より「米国での医院継承ビジネスの現状報告」をご講演頂きました。丸山先生と同委員会の土屋委員長が個人として、本年5月にデンバーで開催されたA.A.O第108回Annual Sessionでの大会前日に行われたPractice Transition Seminarに参加された時の報告が行われました。矯正歯科先進国の米国でも医院の継承は大きなテーマであり、今後の日本でも矯正歯科専従開業医の世代交代が増えていくことは確実であります。その米国で、医院継承を(継承したい医院側と継承されたい歯科医との橋渡し)専門としたビジネスが成り立っています。

   1. 矯正歯科診療所の評価観点
   2. 評価額の決定方法
   3. 共同経営に向けての経営権購入

考えられる将来などを、継承までの数年間の間に、解決していく方法です。我が国でも、現医院の現状を把握し方向性を決め、継承者についてなど、どのような将来性を求めて行くかを各自で描くことが必要であるという事でした。

最後に、医療管理・共済担当理事の高橋洋樹先生より「ガイドブックの活用とそのねらいについて」をご講演頂きました。
このガイドブックを作成するまでの道程や意義について詳しく、時系列でご説明がありました。このガイドブックの活用のねらいは、「患者さん」への良質な治療提供の機会を増やすために、正しい矯正歯科治療の情報を発信するという目的にあります。一般歯科医、歯学生に対しても、正しい不正咬合への対応のための、理解向上を目的とした情報提供を行う必要性を訴えていくことが不可欠であるとの考えのもと、多くの会員の先生のご理解と幅広いご活用を期待しているとの事でした。一般歯科医師を通して「患者さん」に対する矯正歯科医療の啓発を行う書籍であると述べられました。

お弁当を取りながら矯正歯科関連商社の説明を聞くランチョンセミナーの後、午後からは特別講演があり、お二人の先生のご講演をお聞きしました。
まず、鶴見大学歯学部、第二歯科保存学教室の准教授であります五味一博先生から「歯周薬物療法を用いた成人歯科へのアプローチ」というタイトルでご講演いただきました。

近年、国民の生活レベルの向上とともに歯科の分野でも質の向上が求められるようになってきました。これは矯正においても同様で年々矯正に対する要求は増加しています。しかし、成人の矯正治療を行う場合、歯周病が大きな妨げになることがあります。この歯周病をいかにコントロールし、矯正治療をすすめていくかを詳しくご説明いただきました。五味一博先生の講演では「歯周病は細菌感染症であり、効果的に抗菌薬を用いた歯周薬物基本治療を確立し臨床に応用している。」そうです。「これまでの歯周治療では積極的に薬物を用いることはなかった。それは薬物の治療により最も大切な歯ブラシによるプラークコントロールへのモチベーションが下がることや、抗菌薬の長期間投与による副作用や耐性菌の出現等の問題があるからでした。しかし、一般的に行われている1/2あるいは 1/3顎ずつのSRP(スケーリング・ルートプレーニング)では、SRPにより除菌された部位にSRPをしていない部位からの歯周病関連細菌が再感染を起こし、歯周病の再発が容易に起こる可能性がある」とのことです。「そこでSRPと内服抗菌薬を併用し、短期間に歯周病関連細菌を口腔内から排除し健康な細菌叢を獲得することで歯周病関連細菌の再感染を防ぐ新しい治療法です。極めて短期間の間にプロービングデプスの改善やアタッチメントゲインが有意に得られるだけでなく、長期間にわたりポケット内細菌叢を良好な状態に保つことができ、安定した歯周組織を得ることが明らかとなった」とのことです。

お二人目は浦野歯科診療所の浦野智先生に「歯周病的観点からみた成人矯正」というタイトルでご講演いただきました。
先生はまず中等度・高度に進行した歯周病には保存科、矯正科、補綴科、口腔外科などの各専門医がチームとして協力することが必要であることをご説明され、今回は特に非炎症性の歯周疾患をよりよくきれいに仕上げるテクニックとして、PAOO(Periodontally Accelerated Osteogenic Orthodontics)について詳しくご講演していただきました。これはデコルチケーションをおこない、そこに人工骨移植をおこなうことで、矯正治療をより安全に、早く治療することができるというものです。また、PAOOにインプラントアンカーを併用することにより、矯正治療の適応症をより拡大できるのではないかとのことでした。実際にケースもたくさん見せていただきましたが、通常であれば外科矯正の適応になるようなケースを、顎変形症の手術をせずに、PAOOにて見事に治療されておりました。お二人のご講演終了後は質疑応答があり、各先生方に活発な質問が飛び交っておりました。
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大会一日目の締めくくりの講演は、ご来賓である日本矯正歯科学会理事長の後藤滋巳先生の「国民に認知される矯正歯科界の実現にむけて」というタイトルで講演をされました。
日本矯正歯科学会の会務運営は、大学に常勤する先生、開業されている先生、学会に賛助される皆さんが連携を強化し、三位一体で運営を行うことにより、学会のさらなる発展が可能となる。また、会員に対し開かれた学会とし、情報を共有化することで、そのことで患者の利益にもつながる。一方、矯正歯科患者の満足度が19.4%と一般歯科治療の満足度の約3分の1と低いわけであるが、これを向上するためには患者サイドにたった見方が必要で、エビデンスに基づいた診療技術の追求、医療法・薬事法の遵守、治療技術・材料の発展、倫理規範に沿った治療体系の確立、基礎教育の充実、インフォームドコンセントの充実が望まれるとのことでした。予定時間を超過し熱のこもった後藤理事長の講演でした。

カントリー音楽の流れる中、つま恋SMC『桔梗』にて立食形式の懇親会が行われました。静岡支部の富永雪穂先生の司会で、まず、大川覚大会長の歓迎の挨拶から始まり、本会の平木建史会長、来賓講演を終えたばかりの後藤滋巳日本矯正歯科学会理事長、山崎裕日本歯科矯正器材協議会会長の挨拶と続きました。平木会長からは、「同じ職業を持つ仲間の交流を!」、後藤理事長からも、「堅苦しい話はせずに交流いたしましょう。今日はありのままの理事長をみてください」とのお話があり、山崎会長からは、「日本矯正歯科学会、日本臨床矯正歯科医会と器材協議会の三者が一体となって矯正歯科界を盛り上げていきましょう」とのお言葉をいただきました。
次に、今回の海外招待講演者の陳信光台湾口腔矯正医学会会長の「台湾と日本の友好関係をますます強めていきたい。」との挨拶があり、平木会長と大川大会長に対して記念品を贈られました。続いて、韓国の白哲鎬先生からは11月6日~8日にソウルで開かれる大韓矯正学会のご案内と、韓国と日本両国の臨床矯正歯科医会の発展を願っての乾杯の挨拶がありました。陳先生、白先生ともに大変流暢な日本語でお話くださいました。その後は茶々餃子や富士涌水ポークなど、大川大会長お勧めのつま恋のお料理をいただきながらの楽しい歓談となりました。
会場には、現役歯科医師二人を中心とした「足利陽一&The Country Band」による心地良いバンド演奏も加わり、日々の煩わしさから開放されたひと時でした。

最後に、陶山次期大会長から第37回宮崎大会の案内があり、会場となるホテルはじめ宮崎の観光名所がスライドで紹介されました。午後8時からはジャズピアノコンサートやフィルムコンサートなど盛り沢山のプログラムが控えていましたので予定通りの閉会となりました。

平成20年10月15日、大会2日目午前は臨時総会からスタートです。開始に先立ちまして、点呼が取られ、参加人数60名、委任状提出187名、総数247名、会員総数466名の過半数で総会の成立が宣言されました。
議長選出が行われ、会場より執行部一任の声があり、議長に東北支部の曽矢会員、副議長には神奈川支部の脇本会員が選出されました。

臨時総会の開始に当たりまして、平木会長の挨拶、臨時総会召集の説明があり、さらには五十嵐専務理事より、賛助会員の仮入会制度についての説明がありました。
続いて第一号議案、第二号議案の一般事業補正計画および補正予算案について、各担当理事より議案の説明があり、会場賛成多数により可決されました。
続いて第三号議案の中間法人法廃止の伴う第五期税務申告の取り扱いについて、担当理事より説明がありました。会場よりの質問もなく、賛成多数により可決承認されました。

続いて協議事項として、『本会の公益法人化に伴う定款変更案について』についての議案説明が会長よりありました。その内容に関して、会員より活発かつ建設的な意見が多数出されました。
続きまして、会員協議会が開催されました。最初に、会長よりWFOに参加できるよい機会だとの旨の説明があり、その後、協議が行われ会員から意見が出されました。ある会員より、「今はそんなことを考えていられる状況ではない。患者数が激減していて、今にも閉院しなければならないような状況である」との旨の訴えがあり、更なる一考を促す意見がありましたが、多数の会員より加盟に積極的なご意見、質問がありました。また、執行部の答弁に加え、会場の会員より WFOの現状の関する補足説明がありました。

臨時総会は、時間を押して続けられましたが、個々の会員の意見を直接執行部に訴えることのできることは、この日本臨床矯正歯科医会が民主的に運営されている非常良い伝統であると実感させられる臨時総会でした。
その後、海外招待者講演が行われました。_海外招待者講演は現在台湾口腔矯正医学会会長としてご活躍の陳信光先生の発表です。先生は台湾高雄市にある私立高雄医学大学を御卒業後、昭和大学歯学部大学院にて学位を取得され、日本語も堪能な先生ですが、ご希望により英語での講演でした。

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テーマは「Enhancing anterior teeth control for better smile esthetics」と題し、アジアの人々の集団に多く見られる上下顎前突、上顎前突患者にとって顔貌の審美的改善は最も大きな関心事であるとし、これらの矯正歯科治療の成功を導きだすため、ミニスクリュー導入後の前歯歯軸のトルクやバイトコントロールをいかに強化するか、といった問題について、口腔内写真により、またベッグ法で使用する付加物の作成方法については動画にてご教示されました。講演の締めくくりとして (1)多くの台湾人にとり、前歯の最大限の後退は審美的に必要なものである。 (2)ミニスクリューは、バイトやトルクコントロールのためのアンカレッジとして極めて有効である。 (3)前方でのミニスクリュー、あるいはハイプルヘッドギアによる垂直的な前歯への圧下力を加える事は、トルクとバイトコントロールの双方に対し効果的である。 (4)ベッグ法で用いられるトーキングオギジラリーズスプリングやアーチワイヤーはエッジワイズ法においてもトルクコントロールを行う上で有益である点を挙げ結論付けられました。

限られた講演時間にもかかわらずご自身の治験を5症例供覧され創意工夫された日常臨床を見る事ができました。同じアジアの同胞を治療の対象としている私共にとって貴重な講演でした。

会員報告(アンコール賞受賞発表) 14:00~15:30
アンコール賞受賞の会員発表報告では、以下の3題の発表がありました。

[1] 府川彰久会員による多胎児の矯正歯科学的考察 ー四胎児・五胎児を分析してみてー


歯科矯正領域の研究報告の少ない多胎児において

1. 出生時の状況と出生前後の経過
2. 全身成長の推移
3. 乳歯や乳歯列の大きさと形の比較
4. 永久歯の歯胚の数・位置・形態・萌出方向
5. 兄弟間の顎顔面の比較および
6. 親子間の顎顔面

の比較検討が行われ、多胎児の全身の成長発育は単胎児に比べ遅れているが、顎顔面頭蓋のキャッチアップグロースが早く、イメージとしてやや頭が大きめ、顎顔面のパターンは母親似あるいは父親似と様々であるが平均的にはその中間が多いと考えられることなどが発表されました。

[2] 野村聡会員による歯周疾患を伴う高齢者の包括的矯正歯科治療 -術後9年経過症例-

一般歯科との連携による包括治療で歯周病の進行に伴う臼歯部の咬合支持喪失による上顎前歯の突き上げから咬合崩壊、歯牙喪失というサイクルをくいとめた上顎前突症例が発表されました。また、その後の患者さんの資料提示から咬合状態の安定が提示され、治療時の上顎前歯リトラクション時の注意や動的治療期間短縮の必要性が示唆されました。

[3] 広瀬寿秀会員によるツインブロックを用いたClass II div.2症例

患者さんの使用協力度がキーポイントとなるツインブロックの使用により、良好な結果が得られた症例の発表が行われました。加えて、ご自身の診療所で行った機能的矯正装置の症例のまとめが発表されました。また、ツインブロック以外のいろいろな機能的矯正装置の症例も含まれた興味深い発表が行われました。
また、大会中、商社展示と41題の症例展示報告と13題の学術展示発表が行われました。 そしてスタッフプログラムも開催され菅沼矯正歯科から8名のスタッフが参加しました。

今回の大会で菅沼矯正歯科の私はじめ小嶋先生、歯科衛生士、歯科技工士、受付事務のスタッフも参加させていただき非常に実りある学術大会でした。来年は9月22日、23日と宮崎県宮崎市フェニックスシーガイアリゾートで開催されます。今から楽しみですね。