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2014年7月13日(日)に豊橋市歯科医師会館で開催された平成26年度豊橋市歯科医師会学術講演会に東京歯科大学歯科矯正学講座主任教授 末石研二先生をお招きして「歯が出ない、なぜ? 萌出遅延の診断と治療」を講演して頂きました。その模様をレポートします。
昨年度から私 菅沼與明は豊橋市歯科医師会で学術担当理事を務めさせて頂いています。豊橋市歯科医師会は学術団体でもありますので、学術講演会の開催は大きな事業の一つです。今回は私の医局の先輩でもあり、私が研修医時代に矯正歯科臨床をご指導頂いた東京歯科大学歯科矯正学講座主任教授 末石研二先生をお招きして「歯が出ない、なぜ? 萌出遅延の診断と治療」と題した学術講演会を開催しました。
末石教授には前日の12日(土)に豊橋までお越し頂き、この豊橋と豊川の東三河エリアで開業している東京歯科大学歯科矯正学講座のOBを集めて末石教授を囲んで一献傾け懇親を深めました。

13日の学術講演会は13時から休憩を挟んで17時まで、豊富な症例をご呈示頂きながら、熱の入った講演をして頂きました。特に上顎犬歯の萌出遅延や異所萌出に関しては隣在歯の歯根吸収をおこすリスクが高いことなど解りやすく講演して頂きました。学校歯科健診でも学校医の先生に留意して頂きたい点等も言及して頂きとても有意義な学術講演会でした。

下記に抄録を掲載します。

講演演題 『歯が出ない、なぜ? 萌出遅延の診断と治療』
           東京歯科大学歯科矯正学講座 主任教授 末石研二先生
抄録
 口腔内の診査時に萌出遅延あるいは埋伏歯を疑うことは比較的多く経験する。その際、どのように考えて対処することが患者の利益につながるのかの判断は、なかなか難しい。レントゲンを撮るか、定期観察で良いか,開窓が必要かなど患者の状況により適切な判断が必要である。講演では萌出についての基本的事項を紹介するとともに、萌出遅延の原因と対応法について概説する。
 萌出という事象は、萌出路の形成と萌出力の発現と言う2つの要因が同時に、独立した現象として起きている。萌出路の形成は歯の形成に関与する外胚葉性の組織とそれを取り囲む中胚葉性組織の間で,シグナル交換がなされ開始されることが報告されている。すなわち,CSF-1、c-fos、NFkappaB、MCP-1などの転写因子や活性分子が生後3日目のrat臼歯歯嚢中で高濃度になり、これが単核細胞の流入と破骨細胞の形成という細胞単位での萌出機転につながる。一方萌出力の発現については多くの説があり、多因子であると考えられているが、その中でも歯根膜形成に関わる線維芽細胞の関与が注目されている。
 萌出遅延の基準には暦齢、歯根形成量および左右歯の萌出の同期性からの逸脱がある。主な歯種の平均萌出年齢とSDを文末に示す。2SD以上の延長は検査を含めた歯科的対応を要すると考える。特に、上顎犬歯の異所萌出については隣在歯の歯根吸収をおこすリスクが高いことから、さらに早い時期での介入を要するといえる。①10歳前後で犬歯膨隆を触知せず、②片側犬歯がすでに萌出したが対側乳犬歯動揺が無く、③11歳以降で乳犬歯が残存し、未萌出で犬歯膨隆を触知しない場合はレントゲン診査を行うことが推奨される。
 萌出遅延の原因は萌出路と萌出力の問題として、大別して症例を紹介した。
 局所的原因として乳歯の骨性癒着例を,また鎖骨頭蓋異形成症ならびに特発性萌出不全などの全身的な要因を持つ症例を紹介し、歯科医師による早期発見と、正しい対応が不正咬合の進展を防ぐために有益であることを提示する。